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明かされた魔法:拠点 ロバート J. シュワルブ

http://www.wizards.com/DnD/Article.aspx?x=dnd/drfe/201101bases

 ダンジョンズ&ドラゴンズ・ファンタジー・ロールプレイング・ゲームは、英雄たちが苦労の末に手に入れたコインを手放させる術をごまんと用意している。職人の棚で輝きを放っているマジック・アイテムの購入や、強力な儀式の構成要素は英雄の財布を軽くする。また、冒険者たちはガレオン船、乗騎、ワゴン、もっとレベルが高くなればスペルジャマー(帆走宇宙艇)やプレイナー・ドロモンド(次元帆船)(※次元界の書p19~20)に手を出す。これまでに触れられていなかった使い方の一つに、冒険者たちが遠征から引き返す場所、怪我を癒す場所、次のクエストに赴く前に調べものをしておく場所としての拠点がある。
 他に冒険を通じて手に入れた大部分の財宝や報酬は、ハッキリと形を持った利益がある。だが拠点がもたらすそれは無形だ。冒険者は、その稼業に拠点を持ち運ぶこともできないし、それを使って敵を攻撃することもできない。ほとんどのクエストで成功・失敗に影響することもない。ファイターが拠点を手に入れたところで、さらに凶悪になったりはしない。
 その代わり、拠点はストーリー要素がある。筋書きに応じて使われたり使われなかったりする。このことを考慮すれば、拠点の建築や維持を徹底的かつ網羅的に考え出すのは、ほとんどのプレイヤーにとって不要な骨折りでしかない。(もちろんミニチュアの類と同様、こだわる人間もいる。が、これは全体向けの記事なので) 冒険者たちが英雄級を卒業したら、より遠へと旅し、より強大で凶悪な脅威と戦う。シギルの通りやアストラル海の支配圏を探索するようになるにつれ、拠点からは足が遠のく。だが、だからといってその場所に新しい拠点を建てたり、手に入れたりしてはいけない理由などどこにもない。
 ダンジョンズ&ドラゴンズの拠点には、豊かな伝統と熟成したシナリオフックがある。本稿では、キャンペーンでの拠点の建築・管理に簡素化されたシステムをご覧に入れたい。その内容が手早く簡単に基地を建設する助けとなり、投資に見合っただけの益をもたらさんことを。

拠点の基本
 拠点とは命令の発信所であり、司令部であり、冒険から引き上げる際の安全な場所である。冒険と冒険の合間の場所であるため、どんな冒険においても主要な場所にはなりづらい。(もちろんDMは拠点にスポットを当てることもできる)そのうえ、伝説級・神話級のキャラクターは、長い間遠くまで赴き、お家に帰ってくる頃には数レベルも上がっていることもある。
 こうした理由から、この記事ではプレイヤーやダンジョン・マスターに、拠点の外見・場所・設備について想像を膨らませる余地を残しつつ、細部まで詰めた要約を提供したい。
 追加投資可能:普通の拠点は25,000 gpかかる。つまり、拠点ひとつで15レベル相当のアイテムに匹敵する。 これはグレートシップよりも高く(訳注:13,000gp)、ナイトメアの乗騎と等価。二つ目の拠点を買うなら、二の丸として使ったり、一つ目を補強する用途で買ったりしてもよい。また後述する拠点の設備を充実させるのに使うのもありだ。
 好きなように:拠点は城だ。だが大聖堂でもあり、寺院でもあり、大学でもあり、ウィザードの塔でもあり、屋敷でもあり、複雑な洞窟であり、島でもあり、もう君が思いついてDMが認めたものなら何にでもなる。だが拠点は国ではない。都市でもないし、宿屋の部屋でもないし、ポケットの空間でもなければ、田舎のおばあちゃんのクローゼットの中でもない。拠点は船や空に浮かぶ城、巨大な機械のように通常動いたりしない。(ただしアイディアとしては非常に面白い。DMはプレイヤーが望むなら柔軟にいくべきだろう。船かつ拠点が欲しいなら、船と拠点の島同様にばらばらに購入することにしてもいいし、2倍の価格のグレートシップが拠点付きになるか聞いてみるのもいい。すべては相談次第。) 拠点ひとつで冒険者のパーティーと、管理するためのサポートスタッフ全員を(必要ならいくらでも)収容することができる。基本的な拠点は床面積にして300マス(7,500フィート四方)の広さである。自分の拠点の間取りは自分で作ることを推奨したい。程よくやるなら楽しく創造的で、実利もあるかもしれない。間取りがあるということは、DMがおそらくそれを利用するだろう。与えられた広さを部屋、廊下、その他欲しい内装があるなら何でも使おう。平屋の拠点でもいいし、複数階ある建物や塔、あるいは地面を掘って地下に造るのもありだろう。300マス以内という制限の範囲内なら、何をどうしようと自由だ。
 安全な場所:どんな拠点も、基本的には安全安心だ。外の異常に対しては、夜ベットで横になっている間に強盗や侵入者の心配をしたり、留守中に居座られたり、占拠されたり、追い出されたりといったことを心配すべきではない。
だが安全なんだと高をくくってもいけない。ふとしたことから敵ができて、DMはごろつきを送り込み、古い仇敵から犯行声明を受ける。次の冒険に行く前に奪還だ。

拠点を手に入れる
 キャラクターが拠点を得る方法は3つ。すなわち、購入する、征服する、建築する。

購入する
 拠点を手に入れる一番簡単な方法は買うことだろう。厄介なのは、良い拠点はすでに誰かのもので、所有者は売りに出したりしないであろうことだ。売り手との談判は、相互作用系(<交渉>、<看破>、<威圧>)や情報収集系 (<事情通>)などを使った技能チャレンジになる。手ごろな場所と構造の砦を探す必要もあるだろう。儀式によって拠点を移動させたり、改良を加えたりすることができるが、そうした儀式の執行は追加で費用がかかる。
 DMに:キャラクターが拠点を買うことができるのは、過不足ない財産を所有しているときだけだ。もしキャラクターたちが拠点にお金を使うことを決めたのなら、どうしたら拠点がゲームに最も合うか、プレイヤーと一緒に考えよう。

征服する
 君は報酬として拠点を勝ち取ることもできる。ウィザードの塔から、前の住人を追い出して自分のものだと宣言できるし、隠れ家に潜んだヴァンパイアを滅した後、廃墟の城に居を構えるかもしれない。力づくで拠点を奪い取る場合の制約だが、購入するとき(場所と構造)に加え、以前の所有者の人となりが残ることだろう。たとえば、死霊術師の塔であった痕跡を完全には消し去れないかもしれない。逆に、一見完璧な建物を邪な持ち主が手ごろな値段で売買を持ちかけ、近隣を安定させた頃に乗っ取ろうとする手もある。
 DMに:もしプレイヤーが拠点を自らの力で陥としたのなら、拠点はその冒険で得た25,000 gp相当の財宝として扱うこと。 手に入れる前段階でダンジョンとしての探索をしているのであれば、拠点のマッピングは終わっているかもしれない。この方法で手に入れたのであれば、通常の制限より若干広いくらいは許されるだろう。キャラクターは足りない分を自らの血で払ったのだから、このくらいは問題ない。拠点が明らかに大きすぎるようなら、その分を別の得られる報酬から削れば済む話だ。

建築する
 購入も征服もしっくりこないなら、無から作り上げるという方法もある。そうしたとしても、費用は購入する以上にかかったりはしない。だが、時間はかかる。共同体が大聖堂や城を造るのに数十年もかけることもあるのを考えてほしい。紆余曲折なしに出来上がるなんてありえない。計画が完璧だとしても、地元の物資や労働力頼みだ。建築美に凝ったり、山の際や不毛の離れ小島など、とんでもない場所に造ろうとしたりするなら、状況はさらにひどいことになる。どのような拠点にしたいのかにもよるが、記事の表紙のような、見事なロングハウスの木製の建物は1d10+5か月、石造りの城や大聖堂をゼロから組もうとするなら1d10+5年の時間がかかる。とても難しいプロジェクト付きならさらに上乗せ。幸いにして、儀式があれば拠点建築にかかる時間を幾年も省くことができる。儀式を使って建築にかかる時間を縮めたり省いたりした場合、その構成要素の分を拠点の建築価格から差し引くように。また、次の建築儀式の項を参照してほしい。
 あるいは、拠点を造るための儀式を創りたくなるかもしれない。ビグビーズ・コンストラクション・クルーのような。

建築儀式
 儀式によっては、執行者の判定結果次第で拠点建築にかかる年月を減らせるかもしれない。同じ儀式を重ね掛けしても効果は重複しないが、種類が違えば重複する。コミューン・ウィズ・ネイチャー(プレイヤーズ・ハンドブック)、アイアンウッド(プレイヤーズ・ハンドブックⅡ)、トレイルブレイズ(フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド) アーセン・ランパーツ[Earthen Ramparts]、エクスカベイション[Excavation]、テンサーズ・リフト[Tenser’s Lift] (すべてドラゴン誌366号)などがある。

新儀式:
ビグビーズ・コンストラクション・クルー
Bigby’s Construction Crew/ビグビーの建築作業員
レベル:15 構成要素費用:5,000 gp
系統: 創造 市価:20,000 gp
執行時間:24時間 対応技能:<魔法学>(判定なし)
持続時間:永遠
 君の頭上に紛れもない魔法の手の一団が現れる。大工道具から石工道具に至るまで、手はそれぞれ君が作らんとするものに必要な道具を持っている。この儀式を執行するとき、執行者は細かいところに至るまで望むままに指示できる。手は現れるや否や使える材料を集め始める。採石して形を整え、木を切り倒して材木にし、葦を集めて藁葺きにする、等々。ただし、手が材料を採集できる範囲は1マイル程度に限られる。たとえば、手は砂漠の真ん中で石造りの聖堂の材料を集められない。手は壊れた建物を修復したり、壊れた建物から新しいものを作り直したりできる。手は攻撃したりダメージを与えることはできず、またダメージに関する何物をも受け付けない。
 この儀式で建築できる拠点は300マスを超えてはならない。間取りは好きなように調整できるが、各部分はつながっていること。
DMの許可があれば、この儀式を橋の建設や、山の斜面に階段を作る類の作業にも応用できる。

拠点を造る
 一度に複数の拠点を持つ冒険者のグループなどほとんどいない。それゆえに、みんなで拠点を造る過程に携わるのが一番いいだろう。ほかのプレイヤーとダンジョン・マスター全員で特徴を決めていこう。

外見と感じ
 拠点の外見や感じを決めるのは君だ。中世のような城でもいいし、生きている樹で形造られた小屋でもいいし、馬鹿でかいウィザードの塔でもいいし、奉ずる神を讃える神気に溢れた聖堂でもいい。拠点の外見的要素は基本価格に含まれる。

場所
 拠点を造るにあたって、最初に考えるべきはどこに建てるかだ。奪取する場合は選択肢が多いとは言えない。見えているものに限られる。だが造るなら、君の好きなところに拠点はある。地元の労働力に頼って拠点建設をする場合、離れた場所に建てるのは困難になる。山頂や荒野の奥深くといった非常に離れたところなら、値段は倍の50,000gpになる。水中や他の次元界・雲に浮かぶ城となれば、儀式からでしか造りだすことはできず、125,000 gpになるだろう。だがこうした目安に縛られることもない。DMと共同で作り上げ、どちらも幸せになれるようにしてほしい。

建築できるマス
 拠点建築に与えられた広さは300マス。300マスで部屋と廊下を造る。考えるのは平面的な間取りのことだけでよく、高さは不合理なことにならない限り考慮しない。何が合理的かはDMが決める。ドラゴンズ&ダンジョンズのお話では、天井は25フィートが比較的よくある設定だ。
 部屋:「部屋」とは、寝室や食堂でもあるし、塔を2つ造ることによってできる城の外防壁かもしれないし、中庭やドックも含まれる。部屋の大きさは自由だ。たとえば15×20の大部屋一つでもよいし、同面積であれば5×5の部屋が4つ、8×10の部屋が2つ、これらをつなぐ幅10フィート長さ100フィート(2×20マス)の廊下でもよい。
 廊下:廊下は部屋をつなぐ。通り道のため、廊下の分も確保しておこう。廊下は少なくとも1マスの幅がなければならない。
壁:壁は造る部屋すべてについてくる。内壁は木製で厚さ6インチ、ドアは好きなように設置できる。外壁は場所的に無理があるか望まない限り、厚さ1フィートの石造り。ドアと窓は自由に配置可能。
 天井と床:床と天井は壁と同じ材質でできている。天井は特に指定がなければ高さ10フィート。(訳注:与えられたマスを割り振って)上の階を構築してもいい。拠点が複数階ある場合、上下の階は石か木でできた階段でつながっている。

部屋の内装
 造った部屋の目的を決めること。部屋の目的に合わせた基本的な家具や小物を配置でき、これらは拠点の基本価格に含まれる。寝室にはベッド、ドレッサー、テーブルなどがあり、食堂には食卓と椅子がある。細かいところは好きにやって構わない。

拠点を描く
 自分の拠点を自分で作るか決めるのは君次第だ。ここが冒険の場とはならないようなら、おおよその部屋の外見と配置を決め、必要に応じて廊下と階段で結んでしまえばいい。逆に、詳細なところまで作りたいのなら、もうやるっきゃない。磨けば磨くほど拠点も輝くことだろう。
 あらゆる拠点に必要な類がある。寝室が最低1つに客間がいくつか。控室に兵舎。台所や工房、武器庫も入れるべきだ。あとはマスの制限の範囲内で好きなように部屋を追加するといい。

特殊用途の場所
 特別な目的のための部屋も作ることができる。ダンジョンや玉座の間、魔術の研究所を造りたくなるかもしれない。これらの部屋は一定以上のマスを使い、お金も余分にかかる。そのぶん、その部屋から得られる利益もある。コモンの特別室を以下に記載する。
 特に明記していない限り、それぞれの施設は拠点に付属しており、設備の外で行う判定には利益を与えない。

オーデトリウム
Auditorium/講堂 レベル2 コモン
この部屋の音響は、大人数に聴かせるのにうってつけだ。
拠点設備 520gp
必要条件:この部屋は24マス以上の広さがなければならない。
利益:君はこの部屋で行う<はったり>および<交渉>判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。

アーマリー
Armory/武器庫 レベル7 コモン
各種武器防具はこの部屋に保管する。
拠点設備 2,600 gp
必要条件:この部屋は24マス以上の広さがなければならない。
利益:この部屋は通常の武器と鎧一式を合計50まで保管できるが、1種類につき5つまでしか置くことができない。矢30本、ボルト20本、手裏剣6つをそれぞれ武器1つとみなす。

チャペル
Chapel/簡易礼拝堂 レベル5+ コモン
聖なる場は宗教絡みのことに没頭するのにご利益がある。
レベル5 1,000 gp
レベル15 25,000 gp
レベル25 625,000 gp
拠点設備
必要条件:この部屋は9マス以上の広さがなくてはならない。
利益:君はこの部屋で行う<宗教>判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。
レベル15: +2 アイテム・ボーナス
レベル25: +3 アイテム・ボーナス

マジカル・ラボラトリー
Magical Laboratory/魔法の学究室 レベル5+ コモン
この研究室には、君が魔法学の研究をするのに必要な道具すべてが備わっている。
レベル5 1,000 gp
レベル15 25,000 gp
レベル25 625,000 gp
拠点設備
必要条件:この部屋は4マス以上の広さがなくてはならない。
利益:君はこの部屋で行う<魔法学>判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。
レベル15: +2 アイテム・ボーナス
レベル25: +3 アイテム・ボーナス

ライブラリー
Library/図書室 レベル8+ コモン
君の研究に使う本と巻物が、棚と机にギッシリ。
レベル8 3,400 gp
レベル18 85,000 gp
レベル28 2,125,000 gp
拠点設備
必要条件:この部屋は16マス以上の広さがなくてはならない。
以下の技能から1つ選択する:<魔法学>、<地下探検>、<歴史>、<自然>、<宗教>。君はこの部屋で行う選択した知識判定およびモンスター知識判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。
レベル18:+2アイテム・ボーナス
レベル28:+3アイテム・ボーナス
特殊:君は同じ部屋の中に複数回この設備を購入できる。購入のたびに異なる技能を選択すること。

プリズン
Prison/牢屋 レベル4+ コモン4
手かせや重い鉄のかんぬきで、虜囚をここに留め置く。
レベル4 840 gp
レベル 14 21,000 gp
レベル 24 525,000 gp
拠点設備
必要条件:この部屋は16マス以上の広さがなくてはならない。
利益:この部屋に入れられたクリーチャーは、魔法的手段を除き、解放されるか難易度21の<運動>または<軽業>判定に成功しない限り脱出することができない。
レベル14:難易度29
レベル24:難易度37

スローン・ルーム
Throne Room/玉座の間 レベル6 コモン
豪華な椅子が一脚、そして探索行の戦利品がこの部屋にある。
拠点設備 1,800 gp
必要条件:この部屋は16マス以上の広さがなくてはならない。
利益:君はこの部屋で行う<はったり>、<交渉>、<看破>、<威圧>判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。

トーチャー・チャンバー
Torture Chamber/拷問室 レベル3+ コモン
縁起でもない設備と道具が、身の毛もよだつようなこの部屋の目的を物語る。
レベル3 680 gp
レベル13 17,000 gp
レベル 23 425,000 gp
拠点設備 1,800 gp
必要条件:この部屋は16マス以上の広さがなくてはならない。
利益:君はこの部屋で行う<威圧>判定に+1のアイテム・ボーナスを得る。
レベル13: +2 アイテム・ボーナス
レベル23: +3 アイテム・ボーナス

防衛施設
建設の際に追加で支払うことで、以下の防衛施設を加えることができる。

アロー・スリッツ
Arrow Slits/矢ぶすま レベル4 コモン
狭い窓の向こうから、射手は護られつつ射ることができる。
拠点設備 840 gp
利益:建物の窓は矢ぶすまとなる。矢ぶすまの内側で戦闘するクリーチャーは、外側からの敵に対して、少なくとも“良好な遮蔽”を得る。

ディフェンシヴ・ウォールズ
Defensive Walls/防護壁 レベル10 コモン
自分の拠点を厚い外壁で囲む。
拠点設備5,000 gp
利益:防護壁は高さ10フィート、幅10フィートの石造り。この壁を登攀するためには、<運動>判定(クリーチャーのレベルに応じた“標準”の難易度)に成功しなくてはならない。壁には好きなだけ門をつけることができる。防護壁の上にいるクリーチャーは、下にいるクリーチャーからの攻撃に対して少なくとも“軽度の遮蔽”を得る。
特殊:君はこの拠点設備を複数回購入できる。購入するたび、新たな壁を造るか既存の壁を強化するか選ぶことができる。既存の壁を強化する場合、壁の高さと厚さが5フィート増す。

ガーズ
Guards/守備隊 レベル1+ コモン
自分の留守中、拠点の安全を護る兵士と歩哨の一団を雇う。
拠点設備 特殊
利益:君は拠点を護るための守備隊を雇用する。購入時に守備隊のレベルを選択すること。価格は同レベルのマジック・アイテムに等しい。守備隊は自身と同レベル以下の攻撃に対する完全耐性を持つ。

アイロン・ドアズ
Iron Doors/鉄製ドア レベル3 コモン
内部のドアを鉄製にして、さらなる防護を施す。
拠点設備 680 gp
利益:拠点のドアは鉄製になる。

モート
Moat/濠 レベル8
幅広の水掘と柵は、寄せ手を阻むのに大いに役立つ。
拠点設備 3,400 gp
利益:拠点は濠で囲まれる。深さは15フィート、幅は30フィート。跳ね橋も含む。

スーペリア・ロックス
Superior Locks/高品質の錠 レベル3 コモン
よくできた錠は、君の護る部屋に賊が押し入るのを退けてくれる。
拠点設備 680 gp
利益:拠点のドアに高品質の錠がつく。鍵なしで開錠を試みる場合、<盗賊>判定(クリーチャーのレベルに応じた“困難”の難易度)に成功しなくてはならない。

拠点を保護する
 儀式修得者は自らに合わせて拠点を調整できる。拠点の中で儀式を執行する場合、保護する範囲は通常よりも広くなる。ガーズ・アンド・ウォーズ(秘術の書)、フォービダンス、アーケイン・ロック(ともにPHB)などの儀式を自分や仲間の所有する拠点に使う場合、儀式の効果は拠点全体に及ぶ。

スタッフ
 拠点を維持する作業は骨が折れる。自分の手で修繕しようとするなら、他のことをしている暇などあまりない。拠点を手に入れたなら、それを良好に管理できるのに足る数のスタッフも揃えたということになる。召使、料理人、執事、職人、農夫などが維持するのに必要な分のスタッフとして含まれる。“維持するのに必要な分”というのがミソで、本当に必要なのを越える分は、自動的には得られない。スタッフは拠点を良く改修し、清潔に保ち、抜かりなく備えている。拠点の初期投資には、雇用者の衣食住にかかる費用も含まれている。スタッフはみな非戦闘員で、君の冒険には同行しない。


 罠は招かれざる客を防ぐ、すぐれた護りとなりうる。既存の罠を使ってもいいし、DMと相談して、自分の考えに最も合うものを造ってもいい。罠の価格は同レベルのマジック・アイテムと一緒だ。“精鋭”の罠であれば価格は2倍。“単独”の罠であれば5倍になる。

魔法のアイテムによる強化
 冒険者の宝物庫Ⅱで掲載されている“その他の魔法のアイテム(設置型)”は拠点の防御と価値を向上させるのにうってつけだ。これらのアイテムは廉価で実に使える。ウォッチフル・アイが視界に入った何者かを警告するかたわら、テレポーテーション・ディスクで拠点の好きな場所に瞬間移動できる。自分の寺院にホーリー・シュラインを入れて[信仰]パワーに柔軟性を持たせたり、ディプロマッツ・テーブルで、すべての交渉系の判定にボーナスを得ようとしたりできる。

機動する拠点
 あらゆる拠点にとって、持ち主の長期不在こそが最も過酷な試練となるだろう。テレポーテーション・サークルを永続させれば行き来が自由になるが、構成要素費用もかかるし戻るときのことも考えなくてはならない。以下の儀式を使えば、拠点のほうが君についてくる。

コール・ストロングホールド
Call Stronghold/拠点召喚
レベル:20
構成要素費用:5,000 gp
系統:創造
市価:25,000 gp
執行時間:1時間
対応技能:<魔法学>(判定なし)
持続時間:永遠

 君はこのために用意した拠点を、ある場所から別の場所へと移動させるべく、現実を捻じ曲げる。移動先は拠点の大きさ以上に広くなければならず、そうでなければ儀式は失敗し、構成要素は無駄に消費される。この儀式は次元の境界に縛られない。つまり、君はこの儀式を使って、拠点を物質界からフェイワイルド、または他の次元界に移動させることもできる。

フライング・フォートレス
Flying Fortress/飛行要塞
レベル:23
構成要素:13,000 gp
系統:移動
市価:65,000 gp
執行時間:1時間
対応技能:魔法学(判定なし)
持続時間:永遠
 君の拠点と相当量の地面は、100フィートの高さまで持ち上がり空に浮かぶ。拠点は飛行速度6(ホバリング)を得る。君が拠点の中にいる場合、移動アクションを消費することで、指定した方向にその移動速度まで飛行させることができる。飛行する拠点が何かにぶつかった場合、そこで移動を停止する。

レイズ・ランド対フライング・フォートレス
 フライング・フォートレスはフォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイドのレイズ・ランドに似ている。確かに目指すところは似ている。が、レイズ・ランドは2マイル四方の土の塊を持ち上げ、お祭りの巨大風船よろしく浮かべたい人には垂涎ものではあるものの、30レベルともなれば、拠点など砂漠の船よろしく地べたに置き去りにされることだろう。フライング・フォートレスは、レベルが上昇して逃げ道ができてしまう前に、高い投資を楽しむために調整し、やりやすくしたバージョンだ。

最後に考えるべきこと
 拠点は、捨てるくらいに金の余ったキャラクターには面白い選択肢だが、すべてのプレイヤーに魅力なオプションではない。拠点を造るのは、こういう簡素化したルールをもってしても、時間がかかるし計画も必要だ。そのうえ責任もついてくる。大きな城を持つということは、君がふさわしい君主であるかどうかにかかわらず、その地域が君の庇護にあるとみなされるということでもある。レベルが上がれば、君の目には物質界など色褪せ、遠く離れた地や他の次元にいる新たな敵を求めていることだろう。
 それを踏まえたうえで、拠点を造ることはなお、労力に見合うだけの価値があると言えるのだろうか?
 絶対にイエスだ!拠点は世界のわずかな部分のコントロールを君に与える。何をなし、どう形作るかを委ねる。この大きな耐久建築物は、拠点そのものや周りに住む人々を護るという新たな挑戦を通して、これまでにない冒険やロールプレイの機会をもたらす。君のキャラクターは闇の蛮族を退け、文明の灯火をわかりやすく、かつ永く続くやり方で広めることができる。これによって、キャンペーンの設定は他に類を見ないほど地に足の着いたものとなり、冒険者にとっても、拠点は悪との戦いで一息入れるだけの場所から、永遠にそこにある隠れ家に昇華する。
 最後に、キャラクターが拠点に収まりきらないほどに成長し、そこから巣立つ時が来る。主の背中を見て育って経験を積み、自分たちの偉業を継いでくれるノンプレイヤー・キャラクターに後を託すのもいいだろう。

筆者について
 ロバート・J・シュワルブはダンジョンズ&ドラゴンズ、ウォーハンマー・ファンタジー・ロールプレイ、A Song of Ice and Fire RPG、 Star Wars RPG、d20システムにおいて200近いタイトルのTRPGのデザインや開発にかかわって表彰されたゲーム・デザイナーだ。ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社での最近の作品はD&D® Gamma World: Famine in Far-Go、Dark Sun Campaign Setting、モンスター・マニュアル3があり、またドラゴン・ダンジョンマガジンの両方で、レギュラーのライターをしている。著者に関してさらに知りたい場合は、彼のウェブサイト( www.robertjschwalb.com.)を参照してほしい。

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