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2012/12/3 ヴィスターニ→ヴィスタニ に表記を修正

ヒストリー・チェック:裏切り者レアリー
ステアリング・ハーシー

イントロダクション
 ダンジョンズ&ドラゴンズにまつわる豊富な歴史を探るシリーズ、最新号をお届けしよう。「ヒストリー・チェック」の各記事で、ゲームの象徴的な英雄、悪役、組織、出来事、D&Dの複雑に絡む歴史を紐解いていこうと思う。
今回の「ヒストリー・チェック」は、誰もがお目にかかったことがあるであろう、このゲーム史上最古かつ最も有名なキャラクターである、裏切り者レアリーと八者の円の物語だ。本文とコラムを通じて、技能判定に成功した冒険者が何を知っているか解説していく。

イッツショータイム!

「旅の方々、私たちのショーにようこそ!・・・なんだけど、残念なお知らせがあってね。踊り子たちがちょっと遅れるそうだ。まあまあ、座っとくれ。ちょっとした不運な事故があってね、とにかく急いで来るからさ。」

「その間、私ことマローブ・ザロヴァンが語り部となって、強力なウィザードが、ほかならぬ自分自身の不実と裏切りによって破滅した話でお楽しみいただこう!ここだけの話、長が教えてくれたところによれば、お前さんがたにとってもこの話がいつか役に立つときがくるだろうとさ。」

「それでも踊り子さんが待ちきれないみたいだねぇ?聞こえてるよ、後ろの間抜け面!こんどお前さんの友達が隊列を組むとき、モンスターの真ん前に行くよう配置されて戦死しちゃうかもね?なに、難しいことじゃないさ!話をきいてりゃ、しまいにはその価値がお分かりいただけることだろうよ。お前さんは自分の冒険がどうなるかなんてわかりっこない。だがこの話は、きっとどこかで身を助けてくれるだろうね。わかったら自分の席にお座り。始めさせてもらおうじゃないか。」

ザロヴァン族

 この「ヒストリー・チェック」の語り手は、ヴィスタニにいるザロヴァン族の一員である。ザロヴァン族は、シャドウフェルとほかの次元界をジプシーのように行き来する謎めいた連中だ。ヴィスタニはAdvanced Dungeons & Dragons Ravenloft adventure(未訳)が初出だが、記憶に残るようなキャラクターが溢れ、よその設定にもその名前を見ることができる。今回の記事ではマローブ・ザロヴァンという、若くて少々尊大であっても立派にヴィスタニの語り手たる彼女をお目にかけたい。
 ヴィスタニに関しては、Player’s Option: Heroes of Shadow、The Shadowfell: Gloomwrought and Beyond、Dragon誌380号の「ヴィスタニ」(すべて未訳)に記載されている。


八者の円

「風が腹を空かせたオオカミの群れのごとく吠え、悪事を照らす月を暗雲で覆い隠すような憂鬱な夜、大陸オアースと大グレイホーク市を我が手にと企む、史上最強のウィザード達による勃興と悲劇的な転落の物語が始まる。八者の円さ。何?そんなの知らないって?少なくともお前さんがたのうち何人かは聞いたことくらいはあるはずさ。秘術の道を志す者なら誰でも・・・ああ、お前さんのスタッフの長さは分かった。でもここで振り回す必要はないからね。そうだ、いくつかその名を冠した呪文が使えるかもしれないね?ビグビーズ・ハンドなんかどうだい?ないだって?ふん、冗談が上等すぎて掴みはいまいちだったようだね。」

「高名かつ強大な八者の円だが、その前身となるものがあって、モルデンカイネンが偉大な英雄を自らの黒曜石の城塞に招いたことがある。公明正大に善を助けることがあるモルデンカイネンだが、その目指すところは善と悪、秩序と混沌の均衡だ。それゆえにこの偉大なる魔導師は、力や影響力を持ち過ぎたと考える個人・集団・国を損なうよう密かに謀るのさ。お利口さんか、お節介焼きか、はたまた扇りなのか?それを決めるのは歴史であって、私じゃあない。ともあれ、一握りの英雄を選抜し、「八者の城塞」のメンバーにした過去があったのさ。」

「八者の城塞の顔ぶれだが、まずはモルデンカイネンにその弟子ビグビー。続いて強力な戦士のロビラー卿、クレリックのリグビーにその熱烈な弟子のイラグ。ウィザードのテンサーが加わったが、その正義感は時にモルデンカイネンのバランスを絶対視する信念とぶつかった。そしてテンサーは友人のサーテンを誘うんだが・・・なんというか、控えめに言っておバカなんだ。最後に、森の住人オティスがくる。」

「八者の城塞による功績はフラネス全土に知れ渡り、メンバーは名声、知識、力を得た。時が経ち、それぞれが己の冒険と探索に没頭するあまり、オアースで起ころうとしていた惨事に気づくことができなかった。それゆえ元素邪霊の群れが来襲したとき、八者のうち七者がお留守だったのさ。勇敢で間抜けのサーテンだけは善の側に立って戦い、とうとうやられてしまう。性格とやり方の違いから、八者の城塞の友誼などすでに色褪せてしまった後だった。関係修復のチャンスはあったにせよ、サーテンの死は決定的だったね。」

「八者の城塞のメンバーは各々の本拠地に戻って活動していたが、小康状態は長くは続かず、数年後に邪悪な半神、アイウーズが帰還した。モルデンカイネンはアイウーズと戦うための助けが必要だったが、過去の過ちは繰り返すまいと決めていたようだ。八者の城塞には、メンバーの目的が別々であるために弱点が生じたと。そのため、モルデンカイネンは次の仲間を自らと同類である練達のウィザードから探したんだ。敬虔なクレリックや屈強のファイターはお呼びじゃない。強大な秘術の技と智を備え、知識への渇望を持つ者をこそと。最も大事なのが、その持てる能力と地位を世界の均衡を保つために使う意思があるかどうかだね。」

「数か月以上もの間、モルデンカイネンは新たに組む「八者の円」のために奔走した。メンバーも出たり入ったりで、今日でもその全貌が知られているわけではない。私にもわからないのさ。信頼のおける弟子、ビグビーが再登場だ。海を愛するドローミジ、変装に戦術、そしてダジャレの達人ニストゥル、これまた大げさに言えば、かつてボカブのクレリック、今や秘術の技にすべてを捧げる偉大なるオットーも来た。レアリーも長らく積み上げてきた自らの知識と研究、助言を役立てた。最後にキーオランドからニロンドにかけての宮廷魔導師でおなじみのバックナードがくる。

「9人だろって?そうさ、その通り。(注1)まだワインに頭がやられてないようだね。名前を一つ一つ挙げていかなかったのに、ちゃんと9人だったのに気が付いたわけだ。おそらくウィザードという連中は、パン屋や領主の徴税人のように数え方も独特なんだよ。モルデンカイネンが8人の魔導師を率いていた、そこんところが大事。」

(注1 本文を読む限りでは人数が足りません。モルデンカイネンが率いるビグビー、オティルーク、ドローミジ、テンサー、ニストゥル、オットー、レアリーにバックナードで9人になります。)

「ほどなく、『円』は以前の『城塞』よりずっと強力であることが示され、オエリック東部での征伐は大いにうまくいったのさ。力だけでなくその術策の巧みさによって、円のメンバーはオアース中にエージェントによる情報網と交友関係を広げ、自ら手を下す代わり、手下や冒険者たちに諸問題を解決させることもよくあった。」

「『円』の成功に感服したテンサーが、かつての友人サーテンを失った苦い思い出を克服する一方で、モルデンカイネンはもう一人メンバーを加えるためオアースを翔けていた。魔導師協会の会長であり、大グレイホーク市の議会に席を持つオティルークを加え、円の政治的影響力と地位はいや増した。2年ほど姿を消したままのバックナードの代わりに、ジャラージ・サラヴァリアンがお試しのメンバーになった。強情な年寄りウィザードのどもの中で唯一の女性だったジャラージにとって、それはもう大した「お試し」だったわけだね!」

ヒストリー・チェック
 難易度10の<歴史>もしくは<魔法学>の判定に成功したキャラクターは、八者の円の存在と主だったメンバーについて知っている。難易度20では八者の円の歴史と初期メンバーもわかっている。難易度25までいけば、上記に加えてメンバーそれぞれの詳細と、その部下のことも把握している。

壊れた円

「円は滅多なことで軽挙妄動したりしない。だからモルデンカイネンがヴァーボボンク南部の丘陵地帯に出向いたほどの兆候や警告というのは、それはそれはすごいものだったんだろう。残忍なるハルマンダールの古墳に異変を見つけた。ハルマンダールが墓を出て彼らと対峙した時、連中は事態が手遅れであることを悟った。ハルマンダールが悪の半神、ヴェクナの手と目をつけていたんだ。ヴェクナの手と目による、時を操る力によってモルデンカイネン以外の八者は瞬きする間に殺された。」

「この悲劇は不具の神ヴェクナとその副官、破壊者カースの暴力と裏切りの物語に端を発している。そのあたりはメノドーラ・ザロヴァンがよく話してくれてるよ。(注2)結果だけ話しておくと、ヴェクナの計画は失敗した。円の手で使わされた連中の働きにより、ほとんど奇跡的な確率でグレイホークは救われたんだ。」

(注2:ヒストリー・チェック:カースとヴェクナ参照)

「八者の死はオアース全体に力の空白を生じさせたため、モルデンカイネンは事態の隠蔽と収拾に全力で取りかかった。失ったメンバーの後釜を探すということもできたろうが、採った手段は死んだ魔術師のクローンを魔法で造ることだった。難しい呪文を使うのに数か月もかけている間に、北からさらなる脅威がやってくる。円が復活する頃には、オアース全土がグレイホーク戦争に巻き込まれたのさ。」

「八者の円のメンバーはその大部分が戦いに加わったが、綻びはたちまちのうちに現れ円が崩れ始める。原因の大部分はレアリーだった。オティルークをはじめ他のメンバーといさかいが絶えず、バランスを保つという方針が自分にとって報われないと感じだしたんだ。とうとうレアリーはロポーラにある自らの塔に帰り、戦いに加わるのを拒否した。 他のメンバーにも会わなくなり、重要な会合の時にしか顔を出さなくなる。その間、メンバーの幾人かはレアリーから凶相、そして心ここにあらずのようだと見て取った。彼の関心は何か他の所にあると。」

「そしてようやく、フラネス全土を覆った戦争にも政治的解決が図られた。大調印式と呼ばれる式典がグレイホークで開かれ、闘争を公式に終結させるべく重鎮や指導者が調印のため一堂に会した。式典は暗殺者やテロリストにとって絶好の機会だったろう。それを分かっていたからこそ、八者の円とそのエージェントは出席者の中に裏切り者がいないか懸命に探した。だが己の内部は見もしなかったのさ。」

ヒストリー・チェック
 難易度20の<歴史>もしくは<魔法学>判定に成功したキャラクターは大まかな八者の円崩壊に至るまでの話を知っている。30の成功でハルマンダールが倒される詳細な部分まで把握している。難易度15の<歴史>でグレイホーク戦争の主要な事柄が分かり、30でこの間のレアリーの行動まで精通している。

裏切り者の攻撃

「調印もいよいよ終わりに差しかかったころ、ビグビー、テンサー、オティルークの三者がようやく大会議場の異変に気が付いた。それでも、彼らの尊敬するレアリーが準備万端整えて登場したときのショックは察するね。歴戦のウィザードには見た瞬間にわかった。レアリーが石や木、さらに空間そのものを操って、式典に居合わせた人間すべてを殺せる呪文を放つつもりだとね。」

「レアリーは逃亡を試みたが、ことごとく三人に阻まれた。袋の鼠のごとく追いつめられ、己の計画が他の八者のせいで無にされてしまい、レアリーはその鬱積した怒りをかつての盟友にぶつけたのさ。」

「グレイホークの誇る最強のウィザードのうち、4人までもが参加した魔法合戦だ。それはもうすごい見物だろうね、想像できるかい?まずレアリーは、式典で使うために準備していた呪文を放った。秘術のエネルギーによって風が切り裂かれ、大爆発、炎の噴出、おまけとばかりさらに魔法の火が炸裂。それらがみな治まると、強力なるテンサーが倒れていた。裏切り者、レアリーによる最初の犠牲者だった。」

「オティルークは果敢に反撃し、レアリーを防戦に追い込んだ。ビグビーもそれに加わったが、狡猾なレアリーは次の罠を起動させ、両者をひどく痛めつけたのさ。奇襲によってオティルークは不意を打たれてしまい、レアリーの攻撃は魔法防御を切り裂き、オティルークに致命傷を与えた。レアリーは残った罠を発動させて離脱したため、その場はヤバい魔法と炎、飛び交う残骸で一杯になった。」

「ビグビーは辛くも生き残った。オティルークとテンサーは蘇生の見込みがなかったが、ビグビーにはお友達とまた会える、という確信があった。ハルマンダールにやられた教訓から、再び殺されても大丈夫なよう自らのクローンを作ってあったんだ。まあ、レアリーにとってはこれも想定内だったんだけどね。」

秘めたる計画

「レアリーが大会議場で円と戦っている間、テンサーとオティルークのクローンも攻撃を受けて破壊され、二人の死は決定的なものになった。だが、何よりも衝撃的だったのは、二人のクローンを襲撃した部隊の中にロビラーがいたことだ。これまでの間に何があったかは謎のままだが、とにかく偉大な戦士はレアリーの側について円に刃を向けた。グレイホークの軍隊はただちにロビラーの居城を落とすべく向かい、ロビラーは手勢とともに敗走を余儀なくされた。レアリーの祖国ケットにあるロポーラの塔も、跡形もなく消し去った。」

「レアリーをして八者の円を裏切らせたのは何か?お前さんがたの中には、何があったにせよ、レアリーのしたことは誤りだと言うのもいるかもしれないね。気高い理想を持ったこの男は、円の崇高な使命が内部の妨害や些細な違いによって損なわれるのを目にしてきた。また、紳士で通ったこの学者は、己の手による巧妙なアイディアが邪魔されるのみならず、オティルークやモルデンカイネンによって笑いものにされたりさえすることがよくあった。均衡を保つことに己を捧げた魔術師は、破壊と混乱によって己の努力を幾度も幾度も無に帰されるのに憤った。そして答えとなるものをあちこちに探し求め、半神アイウーズ、緋色団、暴君アエルディの歴史に辿り着いたんだ。考察したのは両雄並び立たずということで、現にそれらはみな、経緯は違えど同じ轍を踏んでいるね。だがレアリーは、自分はそれらの経験から学んでおり、八者の円との抗争や妨害なしで真の変化をもたらせるとでも信じ込んでいたようだ。」

「他の連中がグレイホーク戦争で忙しい中、レアリーは禁じられた呪文の探求と、ケットを超える規模の征服者にまつわる歴史の研究に勤しんだ。彼は中立という立場と縁を切り、剣と魔法を通じた秩序はどのようにすれば最も効率的に維持できるかということについて歴史を研究し始め、ロビラーを頼りになる自らの右腕として迎えた。だが実は、本当のロビラーはその少し前から他の次元界に囚われており、バイラッロという名の偽者が成り代わっていたんだ。もしも大調印式で全員を殺害すること、そして緋色団の焼き打ちがうまくいったなら、混乱に乗じたレアリーは先んじて力をその手におさめただろう。さらに八者の円は自分が牛耳ることになり、腰抜け魔術師どもは下僕同様、秩序のための「やむを得ない」損失を埋めるべく働いてくれたに違いない。そしてレアリーはたやすくグレイホークの新しい支配者となり、すべての戦争の結果はレアリーの命令で動く軍隊次第、すべての外交の報告はレアリーあてということになっただろうね。」

「ありがたいことに、レアリーと偽ロビラーの企みは成功しなかった。だがどちらも諦めたわけじゃない。大会議場で行われた調印式襲撃が失敗に終わった後、グレイホークから遠く離れた荒廃砂漠に退いている。レアリーはそこにある真鍮の丘に塔を建て、ブライト・ランド(荒廃の地)と称した国を興した。偽ロビラーとその手勢は、国内の遊牧民の部族やノーカー(注3)、その他諸勢力をレアリーの傘下に収めるべく足元固めに励んでいるようだね。」

(注3:「元素の混沌」に晒されて理性を失ったゴブリン類)

「レアリーにとって、点在する砂漠の民の支配者なんぞ眼中にない。荒廃砂漠の古代史を学んで、そこから裏切り者は隠された秘密とアーティファクトの発見に次々と乗り出し、自分の国を富ませて影響力を増している。ロビラーとその配下の将軍はブライト・ランドに自分の領地を持ち、またレアリーは新しい呪文を研究するいっぽう、休みなしで動き、自分の領地を侵略する輩をいつでも粉砕できるような自動機械を開発している。八者の円も含め、この裏切り者には実に多くの敵がいる。その円も欠けたメンバーを補って余りあるほどさらに強力になった。オティルークは残念だったが、テンサーはオアースの月に隠していた別のクローンのおかげで生き返ることができた。だが、彼は八者の円への復帰を拒否したね。いなくなった分の後釜は“ゼイフの賢者”アルハマザード、セオダイン・エリアソンにウォーンズ・スターコート。みな恐るべき闘士さ。」

「さてお前さんがた、これで裏切り者レアリーがいかにして八者の円を裏切ったかについての真相を知っている数少ない人間になったわけだ。今日テンサーやモルデンカイネンを冠した呪文は簡単に見つかる一方、レアリーはさっぱりだ。この魔術師の魔法に対する貢献は、本人が悪に堕ちたため禁忌扱いされたのかもしれないね。ひょっとするとお前さんがたの中に、そんな呪文を学んでみたいと思っているのがいるかもね?ヴィスタニがそのお手伝いをできるかどうかって?ハハハ、たぶんね。」

「さあ、とうとう踊り子のお出ましだ。私たちの馬車に忍び込んでお縄になった盗賊と一緒にね。じゃあ踊りを楽しんでおくれ。私はおマヌケな盗賊を長の所に連れて行くのさ。長は隠している秘密を探り出すのが何より好きなんだ。そう、ヴィスタニが面白い物語より好きなのは貴重な秘密だけさ。」

ヒストリー・チェック
 難易度15の<歴史>もしくは<魔法学>に成功したキャラクターは、レアリーの背信とロビラーの手助けについて知っている。25で裏切りがあった日の詳細を、30までいけばレアリーの長期的な目論見と「ロビラー」の正体までわかっている。

レアリーの呪文

レアリーは術者や目標の精神作用に影響する呪文に特化しており、最もよく知られているのはレアリーズ・ニーモニック・エンハンサーとレアリーズ・テレパシック・ボンドだろう。前者はドラゴン誌#399“Character Themes: Heroes of Nature and Lore”(未訳)にあるオーダー・アデプトの10レベル汎用パワーとして、後者は秘術の書にあるテレパシック・ボンドの儀式がその由来だ。

シナリオフック

 以下に示すのは、裏切り者レアリーや八者の円をキャンペーンに使いたいマスター向けだ。サプリメント“Mordenkainen’s Magnificent Emporium”(未訳)にもヒントがあると思う。

◆ パーティーの影響力、利用できる資源、エージェントによる広大なネットワークに目を付けた円のメンバーの誰かが、キャラクターに大変革をさせるべくあらゆる冒険へと誘う。英雄たちはいつも善への大義を掲げて送り込まれるが、円の目的である「均衡を保つ」ことを踏まえるに、実際には善である勢力の妨害や、悪の片棒担ぎをさせられるかもしれない。円は明らかな道徳上や属性の対立は避けるものの、グレーゾーンなら巧みに誘導しうる。

◆荒廃砂漠やブライト・ランドを舞台にした英雄級のキャンペーンで、レアリーとロビラー(バイアッロ)に仕える悪役が出てくるかもしれない。

◆モルデンカイネンやビグビーが、キャラクターたちをレアリーの調査や、レアリーの手に落ちたアーティファクトの奪還に送り込む。アーティファクトは墳墓や宝物庫など元の場所に置かれたままかもしれないし、レアリーやロビラー(バイアッロ)のところに送られる途中かもしれない。

◆砂漠を旅している途中、キャラクターたちはロビラー(バイラッロ)の命令で動くノーカーに襲われる。ノーカーの例は、英雄級なら雷鳴山の迷宮、伝説級ならモンスター・マニュアル3を参照のこと。

著者について
ステアリング・ハーシーは建築士兼フリーランスのゲームデザイナーだ。Monster Vault™: Threats to the Nentir Vale(未訳)の著者の一人で、D&D Insiderにも寄稿している。また、ステアリングは遠い遠い、銀河の向こうでスターウォーズ・ロールプレイングゲームやスターウォーズ・ミニチュアゲームの本や製品のデザインに多数携わっている。

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