キャラクター・テーマ:自然と伝承の英雄達 その1
2012年2月17日 ゲーム(追記:2012/3/5 2011年6月エラッタ分を反映しました)
http://www.wizards.com/dnd/Article.aspx?x=dnd/dra/201105theme1
キャラクター・テーマ:自然と伝承の英雄達
リチャード・ベイカー
君のキャラクターを豊かな経歴を持つ人物へと昇華させる過程は面白く、やりがいのある作業になりうる。君はやりたい種族やクラスがしっかり決まっているだろう。だがゲームの場に至るまでのキャラクターの人生は大雑把なところだけかもしれない。キャラクター・テーマは君のキャラクターを一新し、そのうえ面白そうなオプションで背景をさらに深めることができる。
この記事はキャラクター・テーマをキャラクターとパーティー作成に使うにはどのようにすればよいかということ、そしてテーマとしてアルケミスト、アニマル・マスター、オーダー・アデプト・ウィザーズ・アプレンティスの4つを扱う。
キャラクター・テーマ
君のキャラクターのテーマはこの世界における経歴・呼び名・アイデンティティとなる。種族やクラスだけでもキャラクターの基礎的な位置づけはされるだろうが、テーマはキャラクターの物語とアイデンティティを創る第三の構成要素となる。たとえば、ヒューマンのウィザードはアルケミストを選択できるし、また「ヒューマンのアルケミスト」は色々な形があり得る。君は村にいて、そこに住む人たちのために必要なものを作って売ることで生活しているのかもしれない。あるいは他のウィザードとともに街にいて、外の世界への旅に思いを馳せているのかもしれない。はたまた森や沼にいて、そこの自然のバランスを保とうと考えた君は、作った道具でそこの生き物を外敵から護っているのかもしれない。どんなキャラクター・テーマも、同じコンセプトの範囲内で独自のストーリーを多様に作ることができる。
キャラクター・テーマの選択は特定のクラスに制限されない。たとえば、大部分のアルケミストはウィザードだろうが、姿くらましを好むローグが、錬金術の調合式を見つけて自分で作ってみることもある。ウィザーズ・アプレンティスは秘術の技に仕えているが、必ずしもウィザードである必要はない。このテーマのドルイドは初めウィザードに学び、後に袂を分かったのかもしれない。テーマによっては秘術のパワーを使うキャラクターやドワーフを想定したものもあるが、大部分はどんなキャラクターも選択できる。
テーマを選ぶ
キャラクターは作成時にテーマを一つだけ選択できる。選択したテーマは記載された利益を与える。君は望まないならキャラクター・テーマを選択しなくてもよい。また、選ぶテーマの大部分は、君の冒険者としての特殊な背景や経歴を表したものであるため、1レベルの時点で十分に役に立つ。
テーマ開始時特徴:各テーマはキャラクター作成時に、選択したテーマに応じて利益を与える特徴がある。
テーマ追加特徴:大部分のテーマはレベル5と10で追加の特徴を与える。キャラクターはそのレベルに達した時点で自動的に取得する。これはクラス特徴と排他ではない。
選択パワー:大部分のテーマにおいて、キャラクターが成長して特定のレベルになったとき、(訳注:汎用パワーが得られる2・6・10レベルで)自分のクラスかテーマのいずれかからパワーを選択できる。たとえば、レベル6のファイターの場合、レベル6のファイターの汎用パワーか、レベル6の選んだテーマの汎用パワーのいずれかから修得する。
キャラクター作成のためにテーマを使う
テーマはキャラクター作成の手段としてネタを豊富に取り揃えている。君は自分の役割を強化するため、選んだクラスと密接に結び付いたテーマを選べる。たとえば、ウィザーズ・アプレンティスは制御役向けのパワーを得られるため、もし君がウィザードをするつもりなら、ウィザーズ・アプレンティスはさらに役割を深化させる。
また、君はテーマを別の方向から追うことも可能だ。そのキャラクターのストーリーを重視し、クラスでは得られないものを手に入れる。たとえば、アニマル・マスターを選んだファイターは使える撃破役のパワーを得る。この手の組み合わせは、キャラクターを作る際、自然に設定を盛り込める。なぜアニマル・マスターがファイターになったのか?その者は自然を司る神格の信奉者で、動物を助けることを目標にしているのだろうか?はたまたクリーチャーを操って敵を妨害するのが好きな戦士なのか?テーマであれば、たとえそれが明らかに合っていないようなものであっても、君のキャラクターに面白い設定をつけられる可能性がある。
キャラクター・テーマを選ぶ際、以下が最良の方法かもしれない。冒険者になる直前のキャラクターは何をしていただろうか?ゲーム世界にいる他人に対し、キャラクターはどのように自己紹介するだろう?クラスすらもキャラクターの人となりを表すのに必要不可欠とは限らない。レザー・アーマーを纏った凄腕の剣士がいるとしても、その人物はファイター、ローグ、レンジャー、パラディンでありうる。一方、テーマはキャラクターが他の全員に対して持つ明確な何かがある。もしキャラクターが錬金術アイテムを作成するなら、それはアルケミストだろう。もしキャラクターが特定の団体の目標達成に貢献しているなら、それはオーダー・アデプトかもしれない。言い換えるなら、キャラクターのクラスとはテーマを追求するためにキャラクター自身ができることであり、テーマとはキャラクターが持つクラスの裏側にある物語だ。
パーティー内でのテーマ
君のキャラクターのテーマが、他のプレイヤーのキャラクターのそれとどのように相互作用するか考えてみよう。マスターに相談をして了承が得られたら、各人の役割やクラスを相談してみる。以下のアイディアはどのようにして君のキャラクターが他のキャラクターと結びつくかというストーリーを作る助けになるかもしれない。
類は友を呼ぶ:テーマによっては、冒険の開始時でキャラクター同士を仲間、少なくとも知り合いくらいになる。たとえば、ウィザーズ・アプレンティスとオーダー・アデプトはともに秘術のギルドに所属するメンバーに設定できる。そのようなキャラクターであれば、旅に出たときにはもう十分お互いを知っていることだろう。
よく似た目的:多くのキャラクターは相通じる目標がある。少なくとも、最初のうちは。アルケミストがアニマル・マスターと一緒に行動するのは、希少な植物を探すためかもしれない。そうしたキャラクターは探索に向かった時点では互いのことをあまり知らないかもしれないが、似通った見解を持つことが多い。
違う願望:目標の違うテーマを選んだキャラクター同士は、異なった外見を超えて共通の目的を見出すかもしれない。この手のキャラクターは契約を結んでいたり、それぞれのクエストでお互いを助ける誓いを立てたりしていることもある。
みんなは一人のために:とあるテーマが好きなプレイヤーが複数いて、そのキャラクターが同じテーマを選ぶなら大変面白くなると思う。キャラクターは旧友、愛する家族、あるいはそれぞれの持つ意志や知識が互いを結びつけたライバル同士というのもある。こうしたキャラクターは、キャンペーンの開始時点ですでにチームとして動くだろう。
もしこのアプローチを採るなら、積極的にテーマの背景の詳細について調整を図ろう。二人で作り上げたオーダー・アデプトは他のオーダーとは一味違うはずだ。
テーマを変更する
自分のキャラクターが、その経歴のどこかで呼ばれ方が代わり、それに伴って君はテーマを変更したいと思うこともあるだろう。たとえば、君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスとして自身の経歴をスタートさせたが、数レベル成長した後、パーティーは自らの幹部であった悪のウィザードやウォーロックを打倒した。黒幕を除いた後、君のキャラクターにアーケイン・オーダー加入の申し出があったとする。君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスを続けて初心を貫いてもいいし、より多くを学ぶためオーダー・アデプトになることを選んでもいい。
テーマから得た能力と、前提条件があるパワーや特技が関係してないなら、レベルが上がったときにテーマを変えてもいい。もし修得している特技やパワーの前提条件がテーマに由来するものであったら、まずはそれらを関係ないものに再訓練してからだ。キャラクターがテーマを失った場合、そこから受けていたクラス特徴の利益やアイテムも含めたすべてを失う。
(2011年6月エラッタにより、最後の文を追加)
楽しめる選択になるように
君はキャラクターのテーマについてロールプレイするとき、他のプレイヤーの邪魔になったり不愉快にさせたりするのは避けること。たとえば、君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスであり、出身の小さな村で、ティーフリングのことをまったくもって邪悪な種族だと教え込まれ、またそう信じ込んでいた。だからといってその信条が君の友人のティーフリングを攻撃していい理由にはならないし、とてもじゃないがよいセッションのためのプレイングとは言えないだろう。たとえ君のキャラクターと友人のティーフリングが一対一で出くわしたのが馴れ初めだったとしても、いきなり攻撃するよりも、ここはそのティーフリングを観察しながらついていくのが賢い方法だ。やがて二人は互いを知り、たとえ友人ではなくとも仲間と呼べる時が来るだろう。
何をもってロールプレイと言うかに関わらず、全員の楽しみのため、黙って座っているのがよい時もある。とある状況において、君は自分のキャラクターならこうするだろうと考えたが、だがそうすると他のキャラクターがいい顔をしないことも分かっていた。なら他のプレイヤーの反応を考えてみよう。君のキャラクターによる悪戯や「だいたいあってる」言動、お馬鹿な振る舞いが卓にいる全員に受けることもあるだろう。だがそのような行動が自己中心的でしかなく、他人の興を削いでしまうこともある。この二つの違いをよく肝に銘じておくこと。
アルケミスト
古く類稀なる技を修めた者であるアルケミスト(錬金術師)は、この世の物質と魔法学的性質について研究している。彼らは物質界の鋭い観察者であり、多くのアルケミストは天文学から動物学に至るまで広い分野にわたる知識に興味がある。
多くのウィザードが錬金術に価値を見出すが、すべての錬金術師がウィザードというわけではない。錬金術は呪文の発動や秘術の力が必要ではなく、試薬さえあれば錬金術の智がどんな魔法も再現してくれる。信頼できる調合式と必要な材料、厳密な精製に耐えうる専門知識のある者なら誰でも錬金術製の薬品や道具を作り出すことができる。たとえば、ファイターやパラディンの中には攻城兵器や軍事技術に役立てるべく錬金術を修める者もいるし、ローグは煙幕や岩溶かし酸、眠らし粉の使い方をたくさん知っている。
実験と経験こそがアルケミストのたどる道であり、そのためほとんど大部分のアルケミストは広い研究室に多数の実験器具と試薬を揃えている。錬金術の研究室はとても高価なため、大部分のアルケミストは王侯貴族や市当局などのスポンサーを探している。地方によっては有名なアルケミストの後援者となるのは大変な名誉であるため、そうした都市や宮廷は先を争って自分の縄張りに名高いアルケミストを迎えようとする。アルケミストのうちパトロンが支配階級ではない者は、他の職人や軍事(あるいは犯罪)に使えるものを精製することで、己の研究や実験を続けることができる。スポンサーのいないアルケミストは自分の実験に割ける時間も資源も乏しいが、財布のひもを握られている主人やご婦人に煩わされることもなければ、無茶な注文をつけられることもない。
アルケミストを作る
冒険に出るアルケミストには大きな研究室を構えたり、長く体系だった研究に勤しんだりする間などない。その代わり、自分の仕事場に留まる者では得られないような利点もある。「座りっぱなし」のアルケミストにはなかなか手に入らないような珍しくて変わった材料にお目にかかる機会が頻繁にあるため、普通の材料しか使えないアルケミストよりも少ない試薬かつ簡単な手順で調合物なり精製品なりを作り出せる。役に立つ試料が少々、持ち運び用の器具、観察ノートの詰まった「移動研究室」という名の大きなカバンをひっさげれば、冒険中のアルケミストでも立派な研究室を持ったよくある同業者のできる大体のことはこなせてしまう。アルケミストの冒険者は、面白い材料がないか絶えず目を配っているため、冒険中に見つけた欠片やサンプルがどんどんたまっていく。
錬金鞄(れんきんかばん)
価格:40 gp
重量: 20 lb.
この丈夫な旅行用鞄には、ガラス器具、バーナー、すり鉢とすりこぎ棒、一般的な錬金術の試薬の入った瓶がうまく収納されている。アルケミストのパワーを使用するには、錬金鞄か錬金術の研究室のいずれかを所有していなくてはならない。
テーマの選択パワーを使うためには錬金鞄を持っていなくてはならない。
開始時特徴
≪錬金術師≫の特技によって、調合式さえ知っていれば君はアルケミスツ・ファイアーやアンチヴェノム、スモークスティックにサンダーストーン(どれも詳しくは冒険者の宝物庫参照)といった錬金術アイテムを作成できる。アルケミストのテーマによって、錬金術アイテムを一つ手元に置くことができる。普通なら錬金術アイテムの作成に構成要素の費用がかかるが、君は一度に一つだけ無料で作成できる。
利益:君はボーナス特技として≪錬金術師≫を得る。君は1レベルの錬金術アイテム(アルケミスツ・ファイアーなど)の調合式を一つ知っている。君はこの調合式を関連する技能を習得しているか否かに関係なく使用できる。
小休憩の終了時、君は自分のレベル以下の錬金術アイテムを費用なしで作成できる。ただし、作成するアイテムの調合式を知っていなくてはならず、この特徴によって作成したアイテムは一度に一つしか持てない。
≪錬金術師≫ Alchemist
研究と実験を通して君は錬金術の秘儀を解き明かすことができ、さらなる探索へと赴く準備が整った。
利益:君は自分のレベル以下の錬金術アイテムを作成することができる。そのためには、君は正しい調合式を保持し、適切な技能を取得していなければならない。
特殊:君がクラス特徴として≪儀式修得者≫の特技を得られる場合、君はその特技のかわりに≪錬金術師≫の特技を得ることができる。
アルケミスツ・ファイアー
Alchemist’s Fire/錬金術師の火 レベル1+ コモン
小瓶が砕かれると、そのあたり一帯を錬金術の炎が舐め尽くす。
レベル 1 20 gp レベル16 1,800 gp
レベル 6 75 gp レベル21 9,000 gp
レベル11 350 gp レベル26 45,000 gp
錬金術アイテム
パワー([消費型]◆[火]):標準アクション。遠隔範囲1・爆発1・10マス以内、+4対“反応”の攻撃を行い、ヒットした場合1d6の[火]ダメージを与える。ミスの場合は半減ダメージ。
レベル 6: +9 対“反応”2d6の[火]ダメージ。
レベル11: +14対“反応”3d6 の[火]ダメージ。
レベル16: +19対“反応”3d6 の[火]ダメージ。
レベル21: +24対“反応”4d6 の[火]ダメージ。
レベル26: +29対“反応”4d6 の[火]ダメージ。
(注≪錬金術師≫は冒険者の宝物庫21ページ、アルケミスツ・ファイアーは同24ページ)
テーマ追加特徴
レベル5 での特徴
研究室の周りの探索、そして面白そうな試薬の実験が実を結び、得難い錬金術の調合式 をまた一つ発見できた。
利益:君は自分のレベル以下の錬金術の調合式1つを修得する。
レベル10での特徴
実験を通して、錬金術の調合式を君は完全にものにした。君は通常よりも強力な生成物やアイテムを作成できる。
利益:君は自分で作成した錬金術アイテムの攻撃ロールに+2のボーナスを得る。また、君は自分のレベル以下の錬金術の調合式1つを修得する。
選択パワー
冒険をするにつれ、君の調合のレパートリーは増える一方で、自分の調合式のより良い使い方も学んでいく。君が旅をした経験と、アルケミストとして、そしてウィザードとしての知識が融合し、凶悪なモンスターとの遭遇を通してその有用性が示されて新たな精製品ができあがる。
レベル2 汎用パワー
アクア・レジアは、錬金術において金やプラチナさえ溶かす「王水」にあたる。君は自前の材料から数オンスばかり調合し、錠やドアの蝶番、鉄の棒に使える。
アクア・レジア アルケミスト 汎用2
Aqua regia /王水
君は強酸を金属の物体に注ぎ込む。
[遭遇毎]
マイナー・アクション 近接1
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
目標:金属の物体1つ
効果:使用者の次のターン終了時まで、次にクリーチャーが目標となった物体を開く、ぶち破る、曲げる、あるいは破壊する目的で<盗賊>もしくは【筋力】判定を行う際、+5のパワー・ボーナスを得る。
レベル 6 汎用パワー
君は揉め事から逃がれるため、ちょっとした火付けの種を忍ばせている。手首を素早く動かせば、脱出できるだけの煙幕が立ち込める。
アルケミスツ・エスケープ
Alchemist’s Escape /錬金術師流逃亡 アルケミスト 汎用6
濃い赤色の煙幕を張って君は退散する。
[遭遇毎]◆[区域]
移動アクション 近接爆発1
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
効果:爆発の範囲内は重度な遮蔽をもたらす区域となり、使用者の次のターン終了時まで持続する。それに加えて、使用者は自分の移動速度まで移動することができ、この移動は区域の中にいるクリーチャーからは機会攻撃を誘発しない。
レベル10 汎用パワー
多くのアルケミストは、悪魔的な何かを発明するとすればゴブリンだろうと信じているためこの名がつけられた。ゴブリン・オイルは無色透明の潤滑油だ。堅い地面に小瓶を放り込めば、たちどころに表面がつるつるだ。突撃してくる敵の足を鈍らせるには最適だろう。
ゴブリン・オイル
Goblin Oil/ゴブリン油 アルケミスト 汎用10
錬金術のオイルは床の部分をほとんど通行不能にし、これまた実によく燃えてくれる。
[一日毎]◆[区域]
標準アクション 遠隔爆発2 10マス以内
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
効果:遭遇の終了時まで、爆発の範囲内は“移動困難な地形”の区域となる。区域の中に入ったすべてのクリーチャーは、難易度10+(使用者のレベルの半分)の<運動>判定に成功しない限り、倒れて伏せ状態となる。区域内で伏せ状態となったすべてのクリーチャーは、そのクリーチャーの次のターン終了時まで、[火]に対する脆弱性5を得る。
http://www.wizards.com/dnd/Article.aspx?x=dnd/dra/201105theme1
キャラクター・テーマ:自然と伝承の英雄達
リチャード・ベイカー
君のキャラクターを豊かな経歴を持つ人物へと昇華させる過程は面白く、やりがいのある作業になりうる。君はやりたい種族やクラスがしっかり決まっているだろう。だがゲームの場に至るまでのキャラクターの人生は大雑把なところだけかもしれない。キャラクター・テーマは君のキャラクターを一新し、そのうえ面白そうなオプションで背景をさらに深めることができる。
この記事はキャラクター・テーマをキャラクターとパーティー作成に使うにはどのようにすればよいかということ、そしてテーマとしてアルケミスト、アニマル・マスター、オーダー・アデプト・ウィザーズ・アプレンティスの4つを扱う。
キャラクター・テーマ
君のキャラクターのテーマはこの世界における経歴・呼び名・アイデンティティとなる。種族やクラスだけでもキャラクターの基礎的な位置づけはされるだろうが、テーマはキャラクターの物語とアイデンティティを創る第三の構成要素となる。たとえば、ヒューマンのウィザードはアルケミストを選択できるし、また「ヒューマンのアルケミスト」は色々な形があり得る。君は村にいて、そこに住む人たちのために必要なものを作って売ることで生活しているのかもしれない。あるいは他のウィザードとともに街にいて、外の世界への旅に思いを馳せているのかもしれない。はたまた森や沼にいて、そこの自然のバランスを保とうと考えた君は、作った道具でそこの生き物を外敵から護っているのかもしれない。どんなキャラクター・テーマも、同じコンセプトの範囲内で独自のストーリーを多様に作ることができる。
キャラクター・テーマの選択は特定のクラスに制限されない。たとえば、大部分のアルケミストはウィザードだろうが、姿くらましを好むローグが、錬金術の調合式を見つけて自分で作ってみることもある。ウィザーズ・アプレンティスは秘術の技に仕えているが、必ずしもウィザードである必要はない。このテーマのドルイドは初めウィザードに学び、後に袂を分かったのかもしれない。テーマによっては秘術のパワーを使うキャラクターやドワーフを想定したものもあるが、大部分はどんなキャラクターも選択できる。
テーマを選ぶ
キャラクターは作成時にテーマを一つだけ選択できる。選択したテーマは記載された利益を与える。君は望まないならキャラクター・テーマを選択しなくてもよい。また、選ぶテーマの大部分は、君の冒険者としての特殊な背景や経歴を表したものであるため、1レベルの時点で十分に役に立つ。
テーマ開始時特徴:各テーマはキャラクター作成時に、選択したテーマに応じて利益を与える特徴がある。
テーマ追加特徴:大部分のテーマはレベル5と10で追加の特徴を与える。キャラクターはそのレベルに達した時点で自動的に取得する。これはクラス特徴と排他ではない。
選択パワー:大部分のテーマにおいて、キャラクターが成長して特定のレベルになったとき、(訳注:汎用パワーが得られる2・6・10レベルで)自分のクラスかテーマのいずれかからパワーを選択できる。たとえば、レベル6のファイターの場合、レベル6のファイターの汎用パワーか、レベル6の選んだテーマの汎用パワーのいずれかから修得する。
キャラクター作成のためにテーマを使う
テーマはキャラクター作成の手段としてネタを豊富に取り揃えている。君は自分の役割を強化するため、選んだクラスと密接に結び付いたテーマを選べる。たとえば、ウィザーズ・アプレンティスは制御役向けのパワーを得られるため、もし君がウィザードをするつもりなら、ウィザーズ・アプレンティスはさらに役割を深化させる。
また、君はテーマを別の方向から追うことも可能だ。そのキャラクターのストーリーを重視し、クラスでは得られないものを手に入れる。たとえば、アニマル・マスターを選んだファイターは使える撃破役のパワーを得る。この手の組み合わせは、キャラクターを作る際、自然に設定を盛り込める。なぜアニマル・マスターがファイターになったのか?その者は自然を司る神格の信奉者で、動物を助けることを目標にしているのだろうか?はたまたクリーチャーを操って敵を妨害するのが好きな戦士なのか?テーマであれば、たとえそれが明らかに合っていないようなものであっても、君のキャラクターに面白い設定をつけられる可能性がある。
キャラクター・テーマを選ぶ際、以下が最良の方法かもしれない。冒険者になる直前のキャラクターは何をしていただろうか?ゲーム世界にいる他人に対し、キャラクターはどのように自己紹介するだろう?クラスすらもキャラクターの人となりを表すのに必要不可欠とは限らない。レザー・アーマーを纏った凄腕の剣士がいるとしても、その人物はファイター、ローグ、レンジャー、パラディンでありうる。一方、テーマはキャラクターが他の全員に対して持つ明確な何かがある。もしキャラクターが錬金術アイテムを作成するなら、それはアルケミストだろう。もしキャラクターが特定の団体の目標達成に貢献しているなら、それはオーダー・アデプトかもしれない。言い換えるなら、キャラクターのクラスとはテーマを追求するためにキャラクター自身ができることであり、テーマとはキャラクターが持つクラスの裏側にある物語だ。
パーティー内でのテーマ
君のキャラクターのテーマが、他のプレイヤーのキャラクターのそれとどのように相互作用するか考えてみよう。マスターに相談をして了承が得られたら、各人の役割やクラスを相談してみる。以下のアイディアはどのようにして君のキャラクターが他のキャラクターと結びつくかというストーリーを作る助けになるかもしれない。
類は友を呼ぶ:テーマによっては、冒険の開始時でキャラクター同士を仲間、少なくとも知り合いくらいになる。たとえば、ウィザーズ・アプレンティスとオーダー・アデプトはともに秘術のギルドに所属するメンバーに設定できる。そのようなキャラクターであれば、旅に出たときにはもう十分お互いを知っていることだろう。
よく似た目的:多くのキャラクターは相通じる目標がある。少なくとも、最初のうちは。アルケミストがアニマル・マスターと一緒に行動するのは、希少な植物を探すためかもしれない。そうしたキャラクターは探索に向かった時点では互いのことをあまり知らないかもしれないが、似通った見解を持つことが多い。
違う願望:目標の違うテーマを選んだキャラクター同士は、異なった外見を超えて共通の目的を見出すかもしれない。この手のキャラクターは契約を結んでいたり、それぞれのクエストでお互いを助ける誓いを立てたりしていることもある。
みんなは一人のために:とあるテーマが好きなプレイヤーが複数いて、そのキャラクターが同じテーマを選ぶなら大変面白くなると思う。キャラクターは旧友、愛する家族、あるいはそれぞれの持つ意志や知識が互いを結びつけたライバル同士というのもある。こうしたキャラクターは、キャンペーンの開始時点ですでにチームとして動くだろう。
もしこのアプローチを採るなら、積極的にテーマの背景の詳細について調整を図ろう。二人で作り上げたオーダー・アデプトは他のオーダーとは一味違うはずだ。
テーマを変更する
自分のキャラクターが、その経歴のどこかで呼ばれ方が代わり、それに伴って君はテーマを変更したいと思うこともあるだろう。たとえば、君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスとして自身の経歴をスタートさせたが、数レベル成長した後、パーティーは自らの幹部であった悪のウィザードやウォーロックを打倒した。黒幕を除いた後、君のキャラクターにアーケイン・オーダー加入の申し出があったとする。君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスを続けて初心を貫いてもいいし、より多くを学ぶためオーダー・アデプトになることを選んでもいい。
テーマから得た能力と、前提条件があるパワーや特技が関係してないなら、レベルが上がったときにテーマを変えてもいい。もし修得している特技やパワーの前提条件がテーマに由来するものであったら、まずはそれらを関係ないものに再訓練してからだ。キャラクターがテーマを失った場合、そこから受けていたクラス特徴の利益やアイテムも含めたすべてを失う。
(2011年6月エラッタにより、最後の文を追加)
楽しめる選択になるように
君はキャラクターのテーマについてロールプレイするとき、他のプレイヤーの邪魔になったり不愉快にさせたりするのは避けること。たとえば、君のキャラクターはウィザーズ・アプレンティスであり、出身の小さな村で、ティーフリングのことをまったくもって邪悪な種族だと教え込まれ、またそう信じ込んでいた。だからといってその信条が君の友人のティーフリングを攻撃していい理由にはならないし、とてもじゃないがよいセッションのためのプレイングとは言えないだろう。たとえ君のキャラクターと友人のティーフリングが一対一で出くわしたのが馴れ初めだったとしても、いきなり攻撃するよりも、ここはそのティーフリングを観察しながらついていくのが賢い方法だ。やがて二人は互いを知り、たとえ友人ではなくとも仲間と呼べる時が来るだろう。
何をもってロールプレイと言うかに関わらず、全員の楽しみのため、黙って座っているのがよい時もある。とある状況において、君は自分のキャラクターならこうするだろうと考えたが、だがそうすると他のキャラクターがいい顔をしないことも分かっていた。なら他のプレイヤーの反応を考えてみよう。君のキャラクターによる悪戯や「だいたいあってる」言動、お馬鹿な振る舞いが卓にいる全員に受けることもあるだろう。だがそのような行動が自己中心的でしかなく、他人の興を削いでしまうこともある。この二つの違いをよく肝に銘じておくこと。
アルケミスト
古く類稀なる技を修めた者であるアルケミスト(錬金術師)は、この世の物質と魔法学的性質について研究している。彼らは物質界の鋭い観察者であり、多くのアルケミストは天文学から動物学に至るまで広い分野にわたる知識に興味がある。
多くのウィザードが錬金術に価値を見出すが、すべての錬金術師がウィザードというわけではない。錬金術は呪文の発動や秘術の力が必要ではなく、試薬さえあれば錬金術の智がどんな魔法も再現してくれる。信頼できる調合式と必要な材料、厳密な精製に耐えうる専門知識のある者なら誰でも錬金術製の薬品や道具を作り出すことができる。たとえば、ファイターやパラディンの中には攻城兵器や軍事技術に役立てるべく錬金術を修める者もいるし、ローグは煙幕や岩溶かし酸、眠らし粉の使い方をたくさん知っている。
実験と経験こそがアルケミストのたどる道であり、そのためほとんど大部分のアルケミストは広い研究室に多数の実験器具と試薬を揃えている。錬金術の研究室はとても高価なため、大部分のアルケミストは王侯貴族や市当局などのスポンサーを探している。地方によっては有名なアルケミストの後援者となるのは大変な名誉であるため、そうした都市や宮廷は先を争って自分の縄張りに名高いアルケミストを迎えようとする。アルケミストのうちパトロンが支配階級ではない者は、他の職人や軍事(あるいは犯罪)に使えるものを精製することで、己の研究や実験を続けることができる。スポンサーのいないアルケミストは自分の実験に割ける時間も資源も乏しいが、財布のひもを握られている主人やご婦人に煩わされることもなければ、無茶な注文をつけられることもない。
アルケミストを作る
冒険に出るアルケミストには大きな研究室を構えたり、長く体系だった研究に勤しんだりする間などない。その代わり、自分の仕事場に留まる者では得られないような利点もある。「座りっぱなし」のアルケミストにはなかなか手に入らないような珍しくて変わった材料にお目にかかる機会が頻繁にあるため、普通の材料しか使えないアルケミストよりも少ない試薬かつ簡単な手順で調合物なり精製品なりを作り出せる。役に立つ試料が少々、持ち運び用の器具、観察ノートの詰まった「移動研究室」という名の大きなカバンをひっさげれば、冒険中のアルケミストでも立派な研究室を持ったよくある同業者のできる大体のことはこなせてしまう。アルケミストの冒険者は、面白い材料がないか絶えず目を配っているため、冒険中に見つけた欠片やサンプルがどんどんたまっていく。
錬金鞄(れんきんかばん)
価格:40 gp
重量: 20 lb.
この丈夫な旅行用鞄には、ガラス器具、バーナー、すり鉢とすりこぎ棒、一般的な錬金術の試薬の入った瓶がうまく収納されている。アルケミストのパワーを使用するには、錬金鞄か錬金術の研究室のいずれかを所有していなくてはならない。
テーマの選択パワーを使うためには錬金鞄を持っていなくてはならない。
開始時特徴
≪錬金術師≫の特技によって、調合式さえ知っていれば君はアルケミスツ・ファイアーやアンチヴェノム、スモークスティックにサンダーストーン(どれも詳しくは冒険者の宝物庫参照)といった錬金術アイテムを作成できる。アルケミストのテーマによって、錬金術アイテムを一つ手元に置くことができる。普通なら錬金術アイテムの作成に構成要素の費用がかかるが、君は一度に一つだけ無料で作成できる。
利益:君はボーナス特技として≪錬金術師≫を得る。君は1レベルの錬金術アイテム(アルケミスツ・ファイアーなど)の調合式を一つ知っている。君はこの調合式を関連する技能を習得しているか否かに関係なく使用できる。
小休憩の終了時、君は自分のレベル以下の錬金術アイテムを費用なしで作成できる。ただし、作成するアイテムの調合式を知っていなくてはならず、この特徴によって作成したアイテムは一度に一つしか持てない。
≪錬金術師≫ Alchemist
研究と実験を通して君は錬金術の秘儀を解き明かすことができ、さらなる探索へと赴く準備が整った。
利益:君は自分のレベル以下の錬金術アイテムを作成することができる。そのためには、君は正しい調合式を保持し、適切な技能を取得していなければならない。
特殊:君がクラス特徴として≪儀式修得者≫の特技を得られる場合、君はその特技のかわりに≪錬金術師≫の特技を得ることができる。
アルケミスツ・ファイアー
Alchemist’s Fire/錬金術師の火 レベル1+ コモン
小瓶が砕かれると、そのあたり一帯を錬金術の炎が舐め尽くす。
レベル 1 20 gp レベル16 1,800 gp
レベル 6 75 gp レベル21 9,000 gp
レベル11 350 gp レベル26 45,000 gp
錬金術アイテム
パワー([消費型]◆[火]):標準アクション。遠隔範囲1・爆発1・10マス以内、+4対“反応”の攻撃を行い、ヒットした場合1d6の[火]ダメージを与える。ミスの場合は半減ダメージ。
レベル 6: +9 対“反応”2d6の[火]ダメージ。
レベル11: +14対“反応”3d6 の[火]ダメージ。
レベル16: +19対“反応”3d6 の[火]ダメージ。
レベル21: +24対“反応”4d6 の[火]ダメージ。
レベル26: +29対“反応”4d6 の[火]ダメージ。
(注≪錬金術師≫は冒険者の宝物庫21ページ、アルケミスツ・ファイアーは同24ページ)
テーマ追加特徴
レベル5 での特徴
研究室の周りの探索、そして面白そうな試薬の実験が実を結び、得難い錬金術の調合式 をまた一つ発見できた。
利益:君は自分のレベル以下の錬金術の調合式1つを修得する。
レベル10での特徴
実験を通して、錬金術の調合式を君は完全にものにした。君は通常よりも強力な生成物やアイテムを作成できる。
利益:君は自分で作成した錬金術アイテムの攻撃ロールに+2のボーナスを得る。また、君は自分のレベル以下の錬金術の調合式1つを修得する。
選択パワー
冒険をするにつれ、君の調合のレパートリーは増える一方で、自分の調合式のより良い使い方も学んでいく。君が旅をした経験と、アルケミストとして、そしてウィザードとしての知識が融合し、凶悪なモンスターとの遭遇を通してその有用性が示されて新たな精製品ができあがる。
レベル2 汎用パワー
アクア・レジアは、錬金術において金やプラチナさえ溶かす「王水」にあたる。君は自前の材料から数オンスばかり調合し、錠やドアの蝶番、鉄の棒に使える。
アクア・レジア アルケミスト 汎用2
Aqua regia /王水
君は強酸を金属の物体に注ぎ込む。
[遭遇毎]
マイナー・アクション 近接1
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
目標:金属の物体1つ
効果:使用者の次のターン終了時まで、次にクリーチャーが目標となった物体を開く、ぶち破る、曲げる、あるいは破壊する目的で<盗賊>もしくは【筋力】判定を行う際、+5のパワー・ボーナスを得る。
レベル 6 汎用パワー
君は揉め事から逃がれるため、ちょっとした火付けの種を忍ばせている。手首を素早く動かせば、脱出できるだけの煙幕が立ち込める。
アルケミスツ・エスケープ
Alchemist’s Escape /錬金術師流逃亡 アルケミスト 汎用6
濃い赤色の煙幕を張って君は退散する。
[遭遇毎]◆[区域]
移動アクション 近接爆発1
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
効果:爆発の範囲内は重度な遮蔽をもたらす区域となり、使用者の次のターン終了時まで持続する。それに加えて、使用者は自分の移動速度まで移動することができ、この移動は区域の中にいるクリーチャーからは機会攻撃を誘発しない。
レベル10 汎用パワー
多くのアルケミストは、悪魔的な何かを発明するとすればゴブリンだろうと信じているためこの名がつけられた。ゴブリン・オイルは無色透明の潤滑油だ。堅い地面に小瓶を放り込めば、たちどころに表面がつるつるだ。突撃してくる敵の足を鈍らせるには最適だろう。
ゴブリン・オイル
Goblin Oil/ゴブリン油 アルケミスト 汎用10
錬金術のオイルは床の部分をほとんど通行不能にし、これまた実によく燃えてくれる。
[一日毎]◆[区域]
標準アクション 遠隔爆発2 10マス以内
必要条件:使用者は自分の錬金鞄を所持していなくてはならない。
効果:遭遇の終了時まで、爆発の範囲内は“移動困難な地形”の区域となる。区域の中に入ったすべてのクリーチャーは、難易度10+(使用者のレベルの半分)の<運動>判定に成功しない限り、倒れて伏せ状態となる。区域内で伏せ状態となったすべてのクリーチャーは、そのクリーチャーの次のターン終了時まで、[火]に対する脆弱性5を得る。
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