明かされた魔法:船を君のキャンペーンに使ってみよう
2012年9月14日 ゲーム(DAC2012のセッション参考資料になります。)
http://www.wizards.com/dnd/downloads/dragon/412/412_Using_Ships.pdf
明かされた魔法:船を君のキャンペーンに使ってみよう
ローリー・アンダーソン
背中に受ける風、顔に浴びる暖かな陽光、波の砕ける心地よい音、足元の穏やかな横揺れより良いものなどあるだろうか?君が海に漕ぎ出せば、空は感動に震えて冒険を約束してくれる。心惹かれる場所、未開の地の探索、変わった海のクリーチャーとの遭遇、忘れ去られた文明の発見、埋められたお宝の発見等々、何でもありだ。
海は驚くほどの美、多大な危険、風変わりな生き物、スリルあふれる冒険に満ちている。危険のない冒険などない以上、航海の成否を握るのは船かもしれない。
君のために作った船は、どんな航海もののキャンペーンにも興を添える。今回の記事は船のサンプルと船をカスタマイズする方法を紹介し、そしてサンプルとなる船のクルーと君のキャンペーンで使えるアドベンチャー・フックをご覧に入れたい。
船の例:流星号
船旅を希望する者の大部分は、同じ方向に向かう商船を探して乗船を依頼する。支払は船長との交渉次第だが、おおくは金銭や労働、あるいはその両方となる。他には距離や危険を伴うか、船長の人となり、目的地に着くために当初の航路を変更する必要があるかどうかもあるだろう。怪物や海賊から船を護るという用心棒を引き受ければ、ほとんどの船長なら喜んで冒険者たちをタダで船に乗せることだろう。
これはもちろん、冒険者たちの乗った船が予定通りの航路を進んでいる場合。大体において、船長は航路を変えたり、危険な海域を通ったりするのを渋るものだ。金につられたなら話は別だが・・・
キャラック(武装商船)は探査と外洋の航海向けの帆船だ。開けた公海の激しい嵐に耐え、長い航海に必要なだけの物資を積める十分な格納スペースを持つ。キャラックを使うためには、借りるなら乗組員一式つきで週当たり500gp、買い上げるなら9,000gpかかる。
流星号の見取り図が示す通り、キャラックは以下のようになっている。(訳注:図はリンク先を参照)
1.メインデッキ:船のメインデッキには船の航行と修復に使う基本的な用具が備えられている。船首(エリア2)の近くでは、大型の枠箱がボルトでしっかりと固定され、備品、ロープ、その他消耗品が中に詰まっている。一艇の漕ぎ船がデッキ中央に括り付けられている。キャラックには通常2本から4本のマストが立ち、メインマストの最上段に見張りのための場所がある。
2.船首:船に乗り込まれる場合に備え、前部(「船首楼」)は、射手に敵船目がけて射掛けるための足場と、要塞の壁としての役割を果たす。船首の両側にはバリスタが置かれ、ここにも漕ぎ船が一艘配備されている。厚手の金属鎖につながれたアンカーは船の手すりの近くに置かれる。
3. 後甲板:後甲板は船の航行と制御の要。船長は後甲板から命令を発するが、これは操縦士が操船をそこで行い、舵手も船の方向と航路を決めるためだ。また、大型のカタパルトが据え付けられており、重い石かタールの火球を敵船目がけて放り投げる。
4. 物品庫:この小さな収納には手桶にモップ、ネットやロープのような基本的な用具がしまわれている。
5. 高級船員用の食堂:キャビンボーイが高級船員および幹部用のこの食堂に食事を運ぶ。座り心地の良い椅子が木のテーブルを囲んでいる。ナプキンに使われるのは上等なリンネル(亜麻糸)、食器は磁器、スプーンやフォークなどは銀メッキがされている。乗客の中でも身分の高い者は、よく船長との食事に誘われる。
6. 高級船員用ラウンジ:この部屋にはソファーや豪華な椅子など家具がいくつか置かれており、船長や幹部はシフトの合間にここでくつろぐ。
7. 海図室:詳細な航海図の広げられた大きなテーブルがこの部屋を占めている。壁には地図や海図が貼られ、未知の領域をマッピングするための製図用の机もあり、また六分儀にコンパス、その他航行用具が隅にある小さなテーブルに載っている。
8. 診療室:基本的な応急処置の用具と大まかな外科処置に使う道具が壁のキャビネットにかけられている。用具は包帯、軟膏、吊り紐、治療用の薬草だ。船員が深刻な怪我を負ったなら、肢がのこぎりで切り落とされる間、帆布の切れ端を口に噛まされることになる。乗組員は可能な限りこの部屋をきれいにしようと努めているものの、床や壁には隠しきれない血の染みが。
9. 流し:先端から海に直接物を捨てることができる。
10. 水夫室:水夫の寝床はハンモックと私物を納める引き出しが壁にあるだけの味気ないものだ。船が出港してから何日目か壁にチョークで書かれていたりする。
11&12. 乗客用の部屋:こちらの部屋には丈夫で寝心地のいいベッドが、その下に私物を入れる鍵付きの収納箱がある。箱にはそれぞれ船酔いを和らげるための薬が一瓶、あるいはハーブの入ったポーチを入れている。
13. 厨房: 厨房、すなわち船の台所は小さなストーブ、洗い台、食器の詰まった木製の戸棚が置かれている。
14. 食堂:この部屋を占めるのは長机が2台に木でできた長いベンチが2脚。船員たちは食事や賭け事の際、この卓を囲む。
15. 下甲板:下甲板の両側に沿って背の低い木製のベンチが並んでいる。帆をはらませる風が吹かないときや、慎重に操船する必要がない時、長いオールが海をかき分けて進む。オールの出番がない時、この一帯は物置代わりに使われる。
16. 船長の書斎:壁に向かって大きな書き物机が置かれている。荒海の中でも本が駄目にならないようにと、革のひもでくくられた本箱がいくつかある。この部屋を使えるのは船長、一等航海士、二等航海士だけだ。
17. 船長の居室:船長は賓客をもてなすのにこの豪華な部屋を使う。船の中で最もプライバシーが保たれる場所の一つであるため、この部屋は静かに話し合いたい場合にも使われる。金の装飾の着いたワイン色の椅子が低いマホガニーのテーブルの周りに置かれる。優雅な金のシャンデリアが部屋の照明で、消えずの松明が併せて使われている。酒の置かれたキャビネットは角ごとに複雑な意匠が掘られ、厚めの豪奢な敷物が荒い床板を覆い隠している。他の部屋と同様、家具は床に固定されているものの、この部屋は雰囲気を壊さないよう、巧妙に見えなくしている。航海の様子を描いたタペストリーが壁を飾り、そのうち一つはキャプテンが貴重品を隠すための小さな物入れを覆う。
18. 船長の寝室:寝室は船長用の他の部屋に比べればかなり質素なものだ。大きめの木のベッドと上等な寝具がこの部屋を占め、木の衝立が壁と向い合せに置かれている。
19. 第二食料品置場:厨房の1階下は穀物の袋、豆や野菜の缶詰、水瓶、ブランデーの樽やほかの消耗品で詰まっている。
20. 第二貨物室:第一貨物室で収まりきらない場合はこちらも使われる。
21・22. 副船長室:一等航海士・二等航海士がこの部屋を共有しており、2段ベッドと大きな収納箱が部屋の中にある。
23. 営倉:営倉とは船の中にある、狭くて家具の一切ない部屋のことを言う。ドアは鉄の棒で枠を取られた窓が付いており、そこから食べ物を差し入れる。この部屋にはわらのマットと便器があるばかり。
24. 鍵付き倉庫:珍しく貴重なものを保管するとき、大きな鉄の南京錠をかけられたこの部屋を使う。唯一の鍵は船長が身に付けている。
25. 第一食料品置場:この貨物室は食物の入った大きな箱ならびに水やビールの樽でひしめいている。第二食料品置場の食料がなくなれば、こちらから移し替える。
26. 第一貨物室:この船の総積載量は400トンにおよぶ。
27. 家畜用檻:これらの檻にはヤギ、めんどり、たまに豚もいる。こうした動物は新鮮な肉と卵であり、長い航海の間不足しがちな貴重な食料になってくれる。
船の進み方
船の速度はその時点での風によって大きく変わってくる。通常の航行は約4ノット、一日換算で100マイルほど。以下の表は風の状態ごとの平均的な速さになる。
船の運航速度
風 ノット マイル/日
無風 0 0
微風 1 30
漕ぎ 1 30
順風 4 100
強風 6 165
烈風 8 220
標準的な乗組員
キャラックに登場する標準的な乗組員は、船長、一等航海士、二等航海士、操舵手、甲板長、水先案内人、コック、キャビンボーイ(ガール)が各1名ずつに18~20人の水夫からなる。船長は船の安全と効率的な航行という責務がある。船長はまた、乗組員のいさかいを仲裁し、起こるすべてのことに最終的な責任が問われる。序列では一等航海士はその次、二等航海士はさらに次に来る。操舵手は操舵と航路の維持の責任を持つ。甲板長は甲板作業を監督し、船の定期的な点検と整備を行う。鋸の腕前が最も優れた甲板長はまた船の外科医としての役目も兼ねており、必要に応じて荒っぽく切断したり関節をはめたりする。操舵手は舵を取って危険なところや浅瀬を避けつつキャラックを安全に航行する任を負う。キャビンボーイ(ガール)はキャプテンの使い走りや掃除に伝令、備品の運搬などの雑務をしている。残りの乗員は必要に応じて掃除、整備、帆の繕い、見張りといった様々な仕事をこなす。
一日の勤務は三交代制が組まれている。船長は朝から夕方まで指揮を執り、一等航海士は夕方から深夜までを務め、二等航海士は深夜から朝までが押し付けられる。
娯楽
生活が甲板の上にあり、終わりのない海をずっと眺め続けることは、ときに最も強靭な水夫の正気すらも試す。娯楽は乗組員の規律や高い士気を維持するためにも重要だ。非番の水夫は様々な時間つぶしに携わる。
カードやダイスを使ったゲームは時間つぶしによくある手段だ。典型的なダイスは木、骨、象牙からできている。変わったダイスには数字ではなくモンスターの絵が描かれており、より恐ろしいものほど高い目になる。例を挙げると、6面ダイスでブロンズ・ドラゴン、ウォーター・エレメンタル、ドラゴン・タートル、クラーケン、ジャイアント・クラブ、そしてシャーク。
船での賭け事は多様で、カードやダイスを使うものから日常の出来事などをネタにする。よくあるのは、次の仕事で最初に怒られるのは誰か、今晩のスープは何か、どのお客が最初に船酔いになるか。水夫は普通金持ちではないため、賭けるのは銅貨だが、レアものや珍味、酒や炊事に見張りの仕事を賭けたりもする。
また、航海は酒に歌、ほら話なくして始まらない。一つの物語が時に何時間ものエンターテイメントになることもあり、どれも初めて聞くようなとんでもないものばかりだ。
君は聞いたことはあるか?
◆難破した船の生存者が、残骸の木に掴まりながら素手で魚を捕まえて生き長らえたこと。
◆恋人が海に出かけたことで、心痛のあまり死んでしまった王子。
◆2,000フィートもの津波に襲われながら、船長の赤ん坊も起こさず、テーブルのグラスの水もこぼすことなくかいくぐった船。
◆イルカになれそうだからという理由で海に飛び込んでいった少女。そして長い年月が経ち、その子は小さな水かきと尾びれを生やし、イルカの群れと泳いでいるのが発見された。
◆クラーケンに飲み込まれてしまった水夫が、漁師によってそのクラーケンが殺されるまでの4か月ほど腹の中で生きていたこと。(その水夫は生きてこそいたが、彼女の肌は色が抜けて白くなり、目が見えなくなり、正気は失われていたという)
◆ドラゴン・タートルと取っ組み合い、素手で倒したという水夫。
他の余暇の過ごし方と言えば、読書したり、日記をつけたり、スケッチしたり、昼寝をしたりする。仕事の間に十分なほど肉体労働に励むため、水夫は暇な時間に運動することはほとんどない。
乗組員の中には自らの神に祈ったり、ささやかな捧げものをしたりする者もいる。ほとんどは海の神メローラに航海の無事を祈る。中には嵐の神コードに対し、自分たちが大嵐からお目こぼしいただくよう願う者もいる。
船長は他の乗組員と親睦を深めるようなことはしない。他の乗組員と同じに見られては示しがつかないという考えによるようだ。それゆえ船長は空いた時間を一人、あるいは同じく手すきの幹部と過ごす。もし船にひとかどの客がいるなら、船長はその人物を自分の居室に招いてお茶会をする。キャプテンによってはハンドメイドで美しい絵の描かれたスリー・ドラゴン・アンティや、象牙の駒を使ってドラゴンチェスで接待する者もいる。読書や日報を付けて時間をつぶすこともあるだろう。
船の種類
船を購入するとき、いくつか選択肢がある。
アパレイタス・オヴ・クワリシュ:このザリガニ型の乗り物は水中を移動でき、中型のクリーチャー2体とその荷物を載せることができる。
アルゴシー(大貨物船):この大きな交易船は相当な積載量の貨物室を持つうえに若干の乗組員で航行できるため、商人達に人気がある。しかしながら、船足は遅く、嵐の中での制御は困難だ。
キャラック:こちらは前のセクションで例とその詳細に触れた。人員30人、貨物400トンの積載ができる。
クリッパー:この細長い船は船足が早いものの、荷物を載せるスペースはほとんどない。
グレートシップ:この巨大な船は200人と500トンまでの貨物を運ぶことができ、戦時であれば多数の兵士の運送に供される。
ロングシップ:川を旅したり浜辺に錨を降ろしたりするようにできているため、この細身の船にあまり荷物を載せる場所はない。
ピンネース:この船は外洋から沿岸まで幅広く使える。外洋に出られる船としては最も安価に購入でき、必要な乗組員も少ないためこれまた安上がりに運用できる。
ボート(漕ぎ舟):小さなボートは小さな湖や大きくない川を旅する際に使われる。ボートは未知の地域で行う海岸線の調査や、大きな船が停泊できない場所で力を発揮する。
船の種類
名前 積載量 価格(gp)
ボート 200ポンド 50
ピンネース* 30トン 1,800
アパレイタス・オヴ・クワリシュ* 200ポンド 5,000
ロングシップ* 3トン 5,000
クリッパー 5トン 5,000
キャラック 400トン 9,000
アルゴシー 2,000トン 9,000
グレートシップ* 500トン 13,000
*印は冒険者の宝物庫に記載
(訳注:100ポンド≒45.35キロ)
船用のマジック・アイテム
捨てるほど金のある船のオーナーは、自分の船に魔法の武器や各種設備を備えようとするかもしれない。このセクションでは、船上の戦闘がより効率的になるか、船旅がより快適になるようにデザインされた貴重なアイテムをお目にかけたい。特に明記していない限り、これらのアイテムは使用するためには船に設置されていなければならない。加えて、サイズの関係で小さい船には取り付けられないものもある。たとえば、キャプテンズ・フィースト・テーブルはボートに置けない。とあるアイテムが船におけるかどうかは、船本体の(大きさではなく)名称で決まる。(訳注:幅40フィート、長さ100フィートであっても、ボートである限りキャプテンズ・フィースト・テーブルは設置できない。)
船用設備と分類されているマジック・アイテムは、(その他の魔法のアイテムと違って)船に取り付けられているか乗船時に使用したときのみ機能する。
アルケミスツ・ラボ
Alchemist’s Lab/錬金術師の研究室 レベル10 アンコモン
この物で溢れた研究室には、ビーカー、薬瓶といったものから、ドラゴンの歯やブリーワグの眼球といった妙な試薬まで揃っている。
その他の魔法のアイテム5,000 gp
特性
◆君がこの部屋で錬金術アイテム、儀式巻物、ポーションを作成するとき、かかる時間は通常の半分になる。
◆君はこの部屋で行う<魔法学>判定に+2のアイテム・ボーナスを得る。
キャビン・オヴ・トランクウィリティ
Cabin of Tranquillity /静寂の船室 レベル12 アンコモン
この船室で休んだもの誰もがすっかり疲れが抜け、今日もまた世界と戦う準備ができていることがわかる。
船用設備13,000 gp
特性
この船室で大休憩を取ったものすべてが15点の一時的hpを得る。この一時的hpは、失われるか次の大休憩の開始時まで持続する。
キャプテンズ・フィースト・テーブル
Captain’s Feast Table/船長の正餐用食卓 レベル9 アンコモン
とてもよく磨かれた丸い樫のテーブルには12人分の椅子があり、12人みなに素晴らしい晩餐をふるまう。
船用設備4,200 gp
汎用パワー◆一日毎(標準アクション)
効果:テーブルの上に豪華な食事が12人前現れる。食事が済んだなら、テーブルの所有者がマイナー・アクションを使用することでテーブルを一瞬できれいにできる。
ドラゴンストライク・バリスタ
Dragonstrike Ballista/竜撃のバリスタ レベル17 アンコモン
敢えて君の船を襲う者がいたなら、君は魔法の稲妻をもって報いる。
船用設備65,000 gp
特性
この魔法のバリスタを使うためには、バリスタが占めるマス目の隣にいる必要がある。バリスタを使えるのは一度に一体のクリーチャーだけで、このバリスタは矢弾が不要である。
攻撃パワー[電撃] ◆無限回(標準アクション)
攻撃:遠隔20 (クリーチャー1体); +20 対反応
ヒット:2d10+4点の[電撃]ダメージ、目標に隣接しているすべてのクリーチャーに半減ダメージ。
エレメンタル・エンジン
Elemental Engine/精霊機関部 レベル15 レア
ウォーター・エレメンタルを船に付けたなら、推進力と危険の軽減、二つが一挙解決だ。
船用設備25,000 gp
特性
◆船は乗組員なしでもキャプテンの命令通り機動・航行できる。
◆船は浅瀬・岩・渦巻その他自然災害を安全に避けられる。
フィギュアヘッド・オヴ・バランス
Figurehead of Balance/平衡の船首像 レベル13 アンコモン
美しい像は船首を飾るだけでなく、乗組員と乗客の足元をしっかり支える。
船用設備17,000 gp
特性
◆船の乗組員および乗客は、船外に強制移動される際に行うセーヴィング・スローに+2のアイテム・ボーナスを得る。
◆船の乗組員および乗客が伏せ状態になる効果を受けた時、そのクリーチャーはただちに伏せ状態にならないためのセーヴィング・スローを1回行うことができる。
フラッグ・オヴ・レジスタンス
Flag of Resistance/抵抗の旗 レベル6+ アンコモン
船の乗客と乗組員に、君を表す象徴があらゆる脅威に対して保護の盾を授ける。
レベル6 1,800 gp
レベル 16 45,000 gp
レベル 26 1,125,000 gp
船用設備
特性
船上、あるいはその5マス以内にいるとき、船の乗組員および乗客はすべてのダメージに対する抵抗5を得る。
レベル16: 抵抗10
レベル26: 抵抗15
ノーティカル・チャート・オヴ・トラッキング
Nautical Chart of Tracking/追跡の航海図面 レベル4+ コモン
この航海図は現在船を取りまく状況を映し出す。
レベル4 840 gp
レベル14 21,000 gp
レベル24 525,000 gp
船用設備
特性
この追跡の航海図面は船から100マイル以内にある主要な港と陸地のおおよその位置を表示する。
レベル14:1,000マイル以内。
レベル24:1,000マイル以内。加えて、1,000マイル以内にいる他の船との相対的な距離を名前付きで表示する。
オーシャンズ・キール
Ocean’s Keel/潜水の竜骨 Level 20 レア
この魔法がかかった竜骨は船を速やかに海の中へと潜らせ、その間泡の膜を張って保護する。
船用設備125,000 gp
汎用パワー◆一日毎 (標準アクション)
効果:船は水泳速度10を持ち、船とその荷物はダメージを受けることなく海中を航行できる。加えて生きているクリーチャーは、船から20マス以内にいる限りすべてウォーターボーン(フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド143ページ)の儀式の対象であるかのように保護される。同様に、船の中にある物体も船外に投げ出されたりしない限りは勝手に移動しない。この効果は12時間、もしくは船が水面から浮上するまで持続する。
特殊:船長だけがこのパワーを使用できる。
セイルズ・オヴ・スピード
Sails of Speed/疾風の帆 レベル10 コモン
魔法で教化された帆によって、船は海をより早く翔けていく。
船用設備5,000 gp
特性
◆帆がかけられたとき、船は通常の倍の速度で航行できる。
◆無風状態の時でも、船は微風が吹いているかのように航行できる。
シップボード・シュライン
Shipboard Shrine/船上の社 レベル10 アンコモン
瞑想と祈祷向けの静かな社。
その他のアイテム5,000 gp
特性
◆この社で執行される占術系統の儀式は、執行時間が通常の半分になる。
◆君は(この社で執行される)占術系統の儀式において[宗教]判定に+5のアイテム・ボーナスを得る。
◆一日に一度、君は構成要素の消費や焦点具なしにリード・オーメンの儀式を執行できる。何人が訪れても、この特性を使用できるのは一日に一人だけである。
スマグラーズ・ホールド
Smuggler’s Hold/密輸人の隠し場所 レベル15 アンコモン
秘密の部屋はご禁制のブツを隠す。
船用設備 25,000 gp
特性
スマグラーズ・ホールドは3インチ角の戸口なので容易に隠すことができ、開けると超次元的な一辺15フィート幅のスペースが現れる。閉じると非魔法的な手段では探知することはできない。船長は何もせずともスマグラーズ・ホールドの場所が分かり、自由に開閉できる。
スパイグラス・オヴ・パーセプション
Spyglass of Perception/知覚の覗き見メガネ レベル3 コモン
この手持ちの望遠鏡を通した世界は一層ハッキリとしたものだ。
その他の魔法のアイテム 680 gp
特性
君はこの道具を使用した[知覚]判定に+3のアイテム・ボーナスを得る。
スターン・ラダー
Stern Rudder/堅固な舵 Level 15 アンコモン
この舵は魔法的に君の船を強化し、戦闘においてより固い護りを授ける。
船用設備25,000 gp
特性
船はACと頑健防御値に+5のアイテム・ボーナスを得て、最大HPが50%増加する。
テレポーテーション・マスト
Teleportation Mast/瞬間移動のマスト レベル9 アンコモン
このマストには魔法のルーンが施されており、乗組員と乗客に船中の他の場所に移動させる力を持つ。
船用設備4,200 gp
汎用パワー[瞬間移動]◆無限回(標準アクション)
効果:君は自分でマストに手を触れることで、船の中で船長が立ち入り禁止にしていない場所以外に瞬間移動できる。望んだマスが他のクリーチャーによって占められている場合、君は何者も占めていない当該マスに最も近いところに現れる。(船外には出ない)
特殊:乗組員と乗客のうち、船長が指定した者だけがこのパワーを使用できる。
助っ人船員
以下に金で雇える専門の人物を挙げておく。これらのテンプレートはモルデンカイネンの魔法大百貨にあるハイアリングと同様に扱うこと。
狩人
費用:標準
狩人は銛や網を使って魚や海の生き物を捕まえる漁の達人だ。彼らはまた水棲クリーチャーのどの部分が金になるかを知っている。
特徴
ハンティング・エキスパート/狩りの達人◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[水棲]クリーチャーに関する知識判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
医者
費用:標準×2
医者は切断、骨接ぎ、傷の縫合などを行う。船医は魔法の力を持たないため、彼らは現代でも見られる器具や薬草治療などを用いる。
特徴
ヘルピング・ハンズ/助けの手◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[治療]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
クレリック
費用:標準×4
クレリックは病気を癒したりひどい傷を治療したりするために魔法を使う。他にも儀式を執行して霊的な導きを得る。誰かが死んだなら、クレリックは人生を締めくくる儀式にふさわしい埋葬を海で行い、乗組員や乗客の心を慰める。裕福で社会的地位のある者は、旅をする際は自分にクレリックを付けるよう求めるのが典型だ。
特徴
ヘルピング・ハンズ/助けの手◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[治療]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
キュレイティブ・キュア/救済の治療[治癒]
小休憩の間、クレリックは味方1人を補助できる。小休憩の間、その味方が回復力を消費するごとに追加で5点のhpを回復する。
セイクレッド・ナリッジ/聖なる知識
クレリックはレイズ・デッドの儀式を修得しており、これを執行できる。
ドルイド
費用:標準×3
荒れ狂う危険な海に立ち向かうとき、海に明るいドルイドがいれば貴重な灯となるだろう。彼らは気象予報の達人でもあり、また海のクリーチャーが船を襲ったなら、その敵意をなだめて攻撃を止めさせるための会話もできる。
特徴
ワン・ウィズ・ネイチャー/自然と共にあり ◆ オーラ5
このオーラの中にいる味方は[自然]クリーチャーに関する技能判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
プレディクト・ウェザー/気象予報
ドルイドはポーテンド・ウェザー(原始の書p159)の儀式を、構成要素を消費することなく執行できる。
メイジ
費用:標準× 3
メイジは風を司り、帆をはらませて速やかな旅をさせたり、海賊に巨大な海のクリーチャーの幻術を見せて追い払ったりする。たとえ幻術と見破られたとしても、ほとんどの海賊は相手の船にメイジがいることが分かるため、木の船を燃やされることを恐れるあまり追うのをためらう。
特徴
マスター・アルカニスト/熟達の魔術師◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[魔法学]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
標準アクション
儀式の達人/儀式の達人◆[一日毎]
効果:味方1人が次に執行する儀式で行う[魔法学]の技能判定に+5のアイテム・ボーナスを与える。
サモン・ウインズ/風よ吹け◆[一日毎]
メイジは風を起こして船の運航を手助けできる。8時間の間、船の水泳速度は2マス上昇する。
アドベンチャー・フック
いったん船を手にしたなら、PCは心躍る海の冒険を欲するだろう!以下のアドベンチャー・フックを、君のキャンペーンに導入したり、自分で考える際の手がかりにしたりするといい。
花競争:毎年、英雄たちの故郷で、その街の商家すべてが参加する船のレースが催される。船は百合島まで向かい、そこで希少な深紅色の百合を採取して持ち帰らなくてはならない。航路には危険がたくさんあり、対抗する商家が船を壊そうとしてしたり、沖に出てからも審判の目をかいくぐりつつ襲ったり襲われたりすることになる。
ありたがくない運命:とある商人が持つキャラック「貴婦人の運命」号が災難続きだ。ここ数カ月というもの、船は航路と時間を変えているにもかかわらず、毎度毎度の航海で海賊に襲われている。船の持ち主は航海の安全と厄除けのため、冒険者を雇う。実は乗組員の一人が海賊の一味だ。魔法の発信機を使い、船の居場所と積み荷がどの時点で最も高くなるか漏らしていた。海賊は襲撃して荷を奪い、次の港で内通者を使って盗品をさばくつもりだ。
海中探検:歴史書によると、海深くに華々しい繁栄を誇ったシー・エルフの都市があるそうだが、その場所を探検したことのある者は久しくいなかった。学者はその都市がどうなったのかに興味を持つ一方、商人はシー・エルフと交易協定を結ぼう、もし住民がいないのなら略奪してしまおうと考えている。
幽霊船:幽霊船がリヴンスカル島近辺に出没している。船の客が戦争勃発直前の国の間でつかわされた特使の一団であったことが分かり、物語は動き出す。彼らを殺したのは誰か?そして動機は?戦争が始まることで得をする黒幕が浮かび上がる。
静まらざる乙女:裕福な貴族が、長女の結婚の引き出物に船を一艘発注した。「優しき乙女」号は手彫りの手すりと息をのむほど美しい船首像で飾られた、とても手の込んだ優雅な船だ。しかし、ほどなく船は悲しみの叫びに憑りつかれ、未完成の船にひどい波が打ち寄せるようになる。水夫たちはこの船が呪われていると信じ込み、出航を拒否しだす。婚礼の日はわずか数日後に迫り、新婚旅行で新郎新婦を乗せる準備をしなければならない。実のところ、船首像は魔法で捕らわれたハマドライアドで、ひどい波は姉妹を助けようとするシー・ニンフによるものだ。船の建設を監督するウィザードは、ハマドライアドを船に縛り付けていることを知られたくないため、何かにつけて冒険者たちに横槍を入れる。
夜の島:千年に一度、神秘の島が現れるという言い伝えがある。月のない夜に姿を見せ、一昼夜留まり、そこから音もなく海に沈むそうだ。島にはどのようなお宝や神秘が隠されているのだろうか?島はどこから来るのか、そしてなぜそんなに稀にしか現れないのか?
もう歌えない:諸島の者たちが言う「歌石」が静まり返った。その子守唄はバードの語り草で、石は船乗りだけでなく、それを知る者みなにとっての標のようなものだったのだ。通りかかった船から、今や静まり返った島の周りで、バラバラにされたシー・ニンフの身体が浮いているのを見たという報告がある。
短剣岬の裂け目:船がいくつも短剣岬の近くで消息を絶っている。商人や港の政治的指導者は、事実上絶たれてしまった貿易路に頭を悩ませている。巨大な竜巻が短剣岬に現れ、その中心は元素混沌に向けて口を開けている。悪辣なイフリートが商船を元素混沌に引き込むために渦を使い、積荷は取引に、乗員は奴隷に売り飛ばすことでけしからん儲けをあげている!
王達の船:二つの争う国の王が休戦に同意し、何か月もの交渉の後、不道徳な側近たちの耳と目の届かない中立地帯で会うことにした。両者は冒険者の船に乗り、公海で会談の場を設ける。サファグンの男爵が両方の王国に宣戦布告し攻撃をかけたそのとき、冒険者たちのなすべきことはサファグンを退けること、そして二人の王に共通の敵がいることを分からせることになる。
海を舞台にした冒険向けの儀式
以下に海を舞台にした冒険向けの儀式を挙げる。ウォーター・ブリージング(レベル8)、ウォーターズ・ギフト(レベル10)、ウォーターボーン(レベル14)はみな水中で呼吸できる能力がつくが、レベルが高いものほどおまけも大きい。ウォーター・ウォークで水上歩行ができるようになり、ローワー・ウォーターによって水を浅くできる。コントロール・ウェザーは恐ろしい嵐を収めたり、無風状態に風を吹かせたりするのに使う。ピュアリファイ・ウォーター(レベル1)によって海水が飲めるようになる。
著者について
ローリー・アンダーソンはRPGAやニュー・イングランド・ゲーミング・コミュニティで活躍中だ。彼女はリビング・フォーゴトン・レルムズ(LFR)・アドベンチャーに寄稿しており、The Agony of Almraiven、Containing Shadow、Plain of Stone Spiders(すべて未訳)が挙げられる。
http://www.wizards.com/dnd/downloads/dragon/412/412_Using_Ships.pdf
明かされた魔法:船を君のキャンペーンに使ってみよう
ローリー・アンダーソン
背中に受ける風、顔に浴びる暖かな陽光、波の砕ける心地よい音、足元の穏やかな横揺れより良いものなどあるだろうか?君が海に漕ぎ出せば、空は感動に震えて冒険を約束してくれる。心惹かれる場所、未開の地の探索、変わった海のクリーチャーとの遭遇、忘れ去られた文明の発見、埋められたお宝の発見等々、何でもありだ。
海は驚くほどの美、多大な危険、風変わりな生き物、スリルあふれる冒険に満ちている。危険のない冒険などない以上、航海の成否を握るのは船かもしれない。
君のために作った船は、どんな航海もののキャンペーンにも興を添える。今回の記事は船のサンプルと船をカスタマイズする方法を紹介し、そしてサンプルとなる船のクルーと君のキャンペーンで使えるアドベンチャー・フックをご覧に入れたい。
船の例:流星号
船旅を希望する者の大部分は、同じ方向に向かう商船を探して乗船を依頼する。支払は船長との交渉次第だが、おおくは金銭や労働、あるいはその両方となる。他には距離や危険を伴うか、船長の人となり、目的地に着くために当初の航路を変更する必要があるかどうかもあるだろう。怪物や海賊から船を護るという用心棒を引き受ければ、ほとんどの船長なら喜んで冒険者たちをタダで船に乗せることだろう。
これはもちろん、冒険者たちの乗った船が予定通りの航路を進んでいる場合。大体において、船長は航路を変えたり、危険な海域を通ったりするのを渋るものだ。金につられたなら話は別だが・・・
キャラック(武装商船)は探査と外洋の航海向けの帆船だ。開けた公海の激しい嵐に耐え、長い航海に必要なだけの物資を積める十分な格納スペースを持つ。キャラックを使うためには、借りるなら乗組員一式つきで週当たり500gp、買い上げるなら9,000gpかかる。
流星号の見取り図が示す通り、キャラックは以下のようになっている。(訳注:図はリンク先を参照)
1.メインデッキ:船のメインデッキには船の航行と修復に使う基本的な用具が備えられている。船首(エリア2)の近くでは、大型の枠箱がボルトでしっかりと固定され、備品、ロープ、その他消耗品が中に詰まっている。一艇の漕ぎ船がデッキ中央に括り付けられている。キャラックには通常2本から4本のマストが立ち、メインマストの最上段に見張りのための場所がある。
2.船首:船に乗り込まれる場合に備え、前部(「船首楼」)は、射手に敵船目がけて射掛けるための足場と、要塞の壁としての役割を果たす。船首の両側にはバリスタが置かれ、ここにも漕ぎ船が一艘配備されている。厚手の金属鎖につながれたアンカーは船の手すりの近くに置かれる。
3. 後甲板:後甲板は船の航行と制御の要。船長は後甲板から命令を発するが、これは操縦士が操船をそこで行い、舵手も船の方向と航路を決めるためだ。また、大型のカタパルトが据え付けられており、重い石かタールの火球を敵船目がけて放り投げる。
4. 物品庫:この小さな収納には手桶にモップ、ネットやロープのような基本的な用具がしまわれている。
5. 高級船員用の食堂:キャビンボーイが高級船員および幹部用のこの食堂に食事を運ぶ。座り心地の良い椅子が木のテーブルを囲んでいる。ナプキンに使われるのは上等なリンネル(亜麻糸)、食器は磁器、スプーンやフォークなどは銀メッキがされている。乗客の中でも身分の高い者は、よく船長との食事に誘われる。
6. 高級船員用ラウンジ:この部屋にはソファーや豪華な椅子など家具がいくつか置かれており、船長や幹部はシフトの合間にここでくつろぐ。
7. 海図室:詳細な航海図の広げられた大きなテーブルがこの部屋を占めている。壁には地図や海図が貼られ、未知の領域をマッピングするための製図用の机もあり、また六分儀にコンパス、その他航行用具が隅にある小さなテーブルに載っている。
8. 診療室:基本的な応急処置の用具と大まかな外科処置に使う道具が壁のキャビネットにかけられている。用具は包帯、軟膏、吊り紐、治療用の薬草だ。船員が深刻な怪我を負ったなら、肢がのこぎりで切り落とされる間、帆布の切れ端を口に噛まされることになる。乗組員は可能な限りこの部屋をきれいにしようと努めているものの、床や壁には隠しきれない血の染みが。
9. 流し:先端から海に直接物を捨てることができる。
10. 水夫室:水夫の寝床はハンモックと私物を納める引き出しが壁にあるだけの味気ないものだ。船が出港してから何日目か壁にチョークで書かれていたりする。
11&12. 乗客用の部屋:こちらの部屋には丈夫で寝心地のいいベッドが、その下に私物を入れる鍵付きの収納箱がある。箱にはそれぞれ船酔いを和らげるための薬が一瓶、あるいはハーブの入ったポーチを入れている。
13. 厨房: 厨房、すなわち船の台所は小さなストーブ、洗い台、食器の詰まった木製の戸棚が置かれている。
14. 食堂:この部屋を占めるのは長机が2台に木でできた長いベンチが2脚。船員たちは食事や賭け事の際、この卓を囲む。
15. 下甲板:下甲板の両側に沿って背の低い木製のベンチが並んでいる。帆をはらませる風が吹かないときや、慎重に操船する必要がない時、長いオールが海をかき分けて進む。オールの出番がない時、この一帯は物置代わりに使われる。
16. 船長の書斎:壁に向かって大きな書き物机が置かれている。荒海の中でも本が駄目にならないようにと、革のひもでくくられた本箱がいくつかある。この部屋を使えるのは船長、一等航海士、二等航海士だけだ。
17. 船長の居室:船長は賓客をもてなすのにこの豪華な部屋を使う。船の中で最もプライバシーが保たれる場所の一つであるため、この部屋は静かに話し合いたい場合にも使われる。金の装飾の着いたワイン色の椅子が低いマホガニーのテーブルの周りに置かれる。優雅な金のシャンデリアが部屋の照明で、消えずの松明が併せて使われている。酒の置かれたキャビネットは角ごとに複雑な意匠が掘られ、厚めの豪奢な敷物が荒い床板を覆い隠している。他の部屋と同様、家具は床に固定されているものの、この部屋は雰囲気を壊さないよう、巧妙に見えなくしている。航海の様子を描いたタペストリーが壁を飾り、そのうち一つはキャプテンが貴重品を隠すための小さな物入れを覆う。
18. 船長の寝室:寝室は船長用の他の部屋に比べればかなり質素なものだ。大きめの木のベッドと上等な寝具がこの部屋を占め、木の衝立が壁と向い合せに置かれている。
19. 第二食料品置場:厨房の1階下は穀物の袋、豆や野菜の缶詰、水瓶、ブランデーの樽やほかの消耗品で詰まっている。
20. 第二貨物室:第一貨物室で収まりきらない場合はこちらも使われる。
21・22. 副船長室:一等航海士・二等航海士がこの部屋を共有しており、2段ベッドと大きな収納箱が部屋の中にある。
23. 営倉:営倉とは船の中にある、狭くて家具の一切ない部屋のことを言う。ドアは鉄の棒で枠を取られた窓が付いており、そこから食べ物を差し入れる。この部屋にはわらのマットと便器があるばかり。
24. 鍵付き倉庫:珍しく貴重なものを保管するとき、大きな鉄の南京錠をかけられたこの部屋を使う。唯一の鍵は船長が身に付けている。
25. 第一食料品置場:この貨物室は食物の入った大きな箱ならびに水やビールの樽でひしめいている。第二食料品置場の食料がなくなれば、こちらから移し替える。
26. 第一貨物室:この船の総積載量は400トンにおよぶ。
27. 家畜用檻:これらの檻にはヤギ、めんどり、たまに豚もいる。こうした動物は新鮮な肉と卵であり、長い航海の間不足しがちな貴重な食料になってくれる。
船の進み方
船の速度はその時点での風によって大きく変わってくる。通常の航行は約4ノット、一日換算で100マイルほど。以下の表は風の状態ごとの平均的な速さになる。
船の運航速度
風 ノット マイル/日
無風 0 0
微風 1 30
漕ぎ 1 30
順風 4 100
強風 6 165
烈風 8 220
標準的な乗組員
キャラックに登場する標準的な乗組員は、船長、一等航海士、二等航海士、操舵手、甲板長、水先案内人、コック、キャビンボーイ(ガール)が各1名ずつに18~20人の水夫からなる。船長は船の安全と効率的な航行という責務がある。船長はまた、乗組員のいさかいを仲裁し、起こるすべてのことに最終的な責任が問われる。序列では一等航海士はその次、二等航海士はさらに次に来る。操舵手は操舵と航路の維持の責任を持つ。甲板長は甲板作業を監督し、船の定期的な点検と整備を行う。鋸の腕前が最も優れた甲板長はまた船の外科医としての役目も兼ねており、必要に応じて荒っぽく切断したり関節をはめたりする。操舵手は舵を取って危険なところや浅瀬を避けつつキャラックを安全に航行する任を負う。キャビンボーイ(ガール)はキャプテンの使い走りや掃除に伝令、備品の運搬などの雑務をしている。残りの乗員は必要に応じて掃除、整備、帆の繕い、見張りといった様々な仕事をこなす。
一日の勤務は三交代制が組まれている。船長は朝から夕方まで指揮を執り、一等航海士は夕方から深夜までを務め、二等航海士は深夜から朝までが押し付けられる。
娯楽
生活が甲板の上にあり、終わりのない海をずっと眺め続けることは、ときに最も強靭な水夫の正気すらも試す。娯楽は乗組員の規律や高い士気を維持するためにも重要だ。非番の水夫は様々な時間つぶしに携わる。
カードやダイスを使ったゲームは時間つぶしによくある手段だ。典型的なダイスは木、骨、象牙からできている。変わったダイスには数字ではなくモンスターの絵が描かれており、より恐ろしいものほど高い目になる。例を挙げると、6面ダイスでブロンズ・ドラゴン、ウォーター・エレメンタル、ドラゴン・タートル、クラーケン、ジャイアント・クラブ、そしてシャーク。
船での賭け事は多様で、カードやダイスを使うものから日常の出来事などをネタにする。よくあるのは、次の仕事で最初に怒られるのは誰か、今晩のスープは何か、どのお客が最初に船酔いになるか。水夫は普通金持ちではないため、賭けるのは銅貨だが、レアものや珍味、酒や炊事に見張りの仕事を賭けたりもする。
また、航海は酒に歌、ほら話なくして始まらない。一つの物語が時に何時間ものエンターテイメントになることもあり、どれも初めて聞くようなとんでもないものばかりだ。
君は聞いたことはあるか?
◆難破した船の生存者が、残骸の木に掴まりながら素手で魚を捕まえて生き長らえたこと。
◆恋人が海に出かけたことで、心痛のあまり死んでしまった王子。
◆2,000フィートもの津波に襲われながら、船長の赤ん坊も起こさず、テーブルのグラスの水もこぼすことなくかいくぐった船。
◆イルカになれそうだからという理由で海に飛び込んでいった少女。そして長い年月が経ち、その子は小さな水かきと尾びれを生やし、イルカの群れと泳いでいるのが発見された。
◆クラーケンに飲み込まれてしまった水夫が、漁師によってそのクラーケンが殺されるまでの4か月ほど腹の中で生きていたこと。(その水夫は生きてこそいたが、彼女の肌は色が抜けて白くなり、目が見えなくなり、正気は失われていたという)
◆ドラゴン・タートルと取っ組み合い、素手で倒したという水夫。
他の余暇の過ごし方と言えば、読書したり、日記をつけたり、スケッチしたり、昼寝をしたりする。仕事の間に十分なほど肉体労働に励むため、水夫は暇な時間に運動することはほとんどない。
乗組員の中には自らの神に祈ったり、ささやかな捧げものをしたりする者もいる。ほとんどは海の神メローラに航海の無事を祈る。中には嵐の神コードに対し、自分たちが大嵐からお目こぼしいただくよう願う者もいる。
船長は他の乗組員と親睦を深めるようなことはしない。他の乗組員と同じに見られては示しがつかないという考えによるようだ。それゆえ船長は空いた時間を一人、あるいは同じく手すきの幹部と過ごす。もし船にひとかどの客がいるなら、船長はその人物を自分の居室に招いてお茶会をする。キャプテンによってはハンドメイドで美しい絵の描かれたスリー・ドラゴン・アンティや、象牙の駒を使ってドラゴンチェスで接待する者もいる。読書や日報を付けて時間をつぶすこともあるだろう。
船の種類
船を購入するとき、いくつか選択肢がある。
アパレイタス・オヴ・クワリシュ:このザリガニ型の乗り物は水中を移動でき、中型のクリーチャー2体とその荷物を載せることができる。
アルゴシー(大貨物船):この大きな交易船は相当な積載量の貨物室を持つうえに若干の乗組員で航行できるため、商人達に人気がある。しかしながら、船足は遅く、嵐の中での制御は困難だ。
キャラック:こちらは前のセクションで例とその詳細に触れた。人員30人、貨物400トンの積載ができる。
クリッパー:この細長い船は船足が早いものの、荷物を載せるスペースはほとんどない。
グレートシップ:この巨大な船は200人と500トンまでの貨物を運ぶことができ、戦時であれば多数の兵士の運送に供される。
ロングシップ:川を旅したり浜辺に錨を降ろしたりするようにできているため、この細身の船にあまり荷物を載せる場所はない。
ピンネース:この船は外洋から沿岸まで幅広く使える。外洋に出られる船としては最も安価に購入でき、必要な乗組員も少ないためこれまた安上がりに運用できる。
ボート(漕ぎ舟):小さなボートは小さな湖や大きくない川を旅する際に使われる。ボートは未知の地域で行う海岸線の調査や、大きな船が停泊できない場所で力を発揮する。
船の種類
名前 積載量 価格(gp)
ボート 200ポンド 50
ピンネース* 30トン 1,800
アパレイタス・オヴ・クワリシュ* 200ポンド 5,000
ロングシップ* 3トン 5,000
クリッパー 5トン 5,000
キャラック 400トン 9,000
アルゴシー 2,000トン 9,000
グレートシップ* 500トン 13,000
*印は冒険者の宝物庫に記載
(訳注:100ポンド≒45.35キロ)
船用のマジック・アイテム
捨てるほど金のある船のオーナーは、自分の船に魔法の武器や各種設備を備えようとするかもしれない。このセクションでは、船上の戦闘がより効率的になるか、船旅がより快適になるようにデザインされた貴重なアイテムをお目にかけたい。特に明記していない限り、これらのアイテムは使用するためには船に設置されていなければならない。加えて、サイズの関係で小さい船には取り付けられないものもある。たとえば、キャプテンズ・フィースト・テーブルはボートに置けない。とあるアイテムが船におけるかどうかは、船本体の(大きさではなく)名称で決まる。(訳注:幅40フィート、長さ100フィートであっても、ボートである限りキャプテンズ・フィースト・テーブルは設置できない。)
船用設備と分類されているマジック・アイテムは、(その他の魔法のアイテムと違って)船に取り付けられているか乗船時に使用したときのみ機能する。
アルケミスツ・ラボ
Alchemist’s Lab/錬金術師の研究室 レベル10 アンコモン
この物で溢れた研究室には、ビーカー、薬瓶といったものから、ドラゴンの歯やブリーワグの眼球といった妙な試薬まで揃っている。
その他の魔法のアイテム5,000 gp
特性
◆君がこの部屋で錬金術アイテム、儀式巻物、ポーションを作成するとき、かかる時間は通常の半分になる。
◆君はこの部屋で行う<魔法学>判定に+2のアイテム・ボーナスを得る。
キャビン・オヴ・トランクウィリティ
Cabin of Tranquillity /静寂の船室 レベル12 アンコモン
この船室で休んだもの誰もがすっかり疲れが抜け、今日もまた世界と戦う準備ができていることがわかる。
船用設備13,000 gp
特性
この船室で大休憩を取ったものすべてが15点の一時的hpを得る。この一時的hpは、失われるか次の大休憩の開始時まで持続する。
キャプテンズ・フィースト・テーブル
Captain’s Feast Table/船長の正餐用食卓 レベル9 アンコモン
とてもよく磨かれた丸い樫のテーブルには12人分の椅子があり、12人みなに素晴らしい晩餐をふるまう。
船用設備4,200 gp
汎用パワー◆一日毎(標準アクション)
効果:テーブルの上に豪華な食事が12人前現れる。食事が済んだなら、テーブルの所有者がマイナー・アクションを使用することでテーブルを一瞬できれいにできる。
ドラゴンストライク・バリスタ
Dragonstrike Ballista/竜撃のバリスタ レベル17 アンコモン
敢えて君の船を襲う者がいたなら、君は魔法の稲妻をもって報いる。
船用設備65,000 gp
特性
この魔法のバリスタを使うためには、バリスタが占めるマス目の隣にいる必要がある。バリスタを使えるのは一度に一体のクリーチャーだけで、このバリスタは矢弾が不要である。
攻撃パワー[電撃] ◆無限回(標準アクション)
攻撃:遠隔20 (クリーチャー1体); +20 対反応
ヒット:2d10+4点の[電撃]ダメージ、目標に隣接しているすべてのクリーチャーに半減ダメージ。
エレメンタル・エンジン
Elemental Engine/精霊機関部 レベル15 レア
ウォーター・エレメンタルを船に付けたなら、推進力と危険の軽減、二つが一挙解決だ。
船用設備25,000 gp
特性
◆船は乗組員なしでもキャプテンの命令通り機動・航行できる。
◆船は浅瀬・岩・渦巻その他自然災害を安全に避けられる。
フィギュアヘッド・オヴ・バランス
Figurehead of Balance/平衡の船首像 レベル13 アンコモン
美しい像は船首を飾るだけでなく、乗組員と乗客の足元をしっかり支える。
船用設備17,000 gp
特性
◆船の乗組員および乗客は、船外に強制移動される際に行うセーヴィング・スローに+2のアイテム・ボーナスを得る。
◆船の乗組員および乗客が伏せ状態になる効果を受けた時、そのクリーチャーはただちに伏せ状態にならないためのセーヴィング・スローを1回行うことができる。
フラッグ・オヴ・レジスタンス
Flag of Resistance/抵抗の旗 レベル6+ アンコモン
船の乗客と乗組員に、君を表す象徴があらゆる脅威に対して保護の盾を授ける。
レベル6 1,800 gp
レベル 16 45,000 gp
レベル 26 1,125,000 gp
船用設備
特性
船上、あるいはその5マス以内にいるとき、船の乗組員および乗客はすべてのダメージに対する抵抗5を得る。
レベル16: 抵抗10
レベル26: 抵抗15
ノーティカル・チャート・オヴ・トラッキング
Nautical Chart of Tracking/追跡の航海図面 レベル4+ コモン
この航海図は現在船を取りまく状況を映し出す。
レベル4 840 gp
レベル14 21,000 gp
レベル24 525,000 gp
船用設備
特性
この追跡の航海図面は船から100マイル以内にある主要な港と陸地のおおよその位置を表示する。
レベル14:1,000マイル以内。
レベル24:1,000マイル以内。加えて、1,000マイル以内にいる他の船との相対的な距離を名前付きで表示する。
オーシャンズ・キール
Ocean’s Keel/潜水の竜骨 Level 20 レア
この魔法がかかった竜骨は船を速やかに海の中へと潜らせ、その間泡の膜を張って保護する。
船用設備125,000 gp
汎用パワー◆一日毎 (標準アクション)
効果:船は水泳速度10を持ち、船とその荷物はダメージを受けることなく海中を航行できる。加えて生きているクリーチャーは、船から20マス以内にいる限りすべてウォーターボーン(フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド143ページ)の儀式の対象であるかのように保護される。同様に、船の中にある物体も船外に投げ出されたりしない限りは勝手に移動しない。この効果は12時間、もしくは船が水面から浮上するまで持続する。
特殊:船長だけがこのパワーを使用できる。
セイルズ・オヴ・スピード
Sails of Speed/疾風の帆 レベル10 コモン
魔法で教化された帆によって、船は海をより早く翔けていく。
船用設備5,000 gp
特性
◆帆がかけられたとき、船は通常の倍の速度で航行できる。
◆無風状態の時でも、船は微風が吹いているかのように航行できる。
シップボード・シュライン
Shipboard Shrine/船上の社 レベル10 アンコモン
瞑想と祈祷向けの静かな社。
その他のアイテム5,000 gp
特性
◆この社で執行される占術系統の儀式は、執行時間が通常の半分になる。
◆君は(この社で執行される)占術系統の儀式において[宗教]判定に+5のアイテム・ボーナスを得る。
◆一日に一度、君は構成要素の消費や焦点具なしにリード・オーメンの儀式を執行できる。何人が訪れても、この特性を使用できるのは一日に一人だけである。
スマグラーズ・ホールド
Smuggler’s Hold/密輸人の隠し場所 レベル15 アンコモン
秘密の部屋はご禁制のブツを隠す。
船用設備 25,000 gp
特性
スマグラーズ・ホールドは3インチ角の戸口なので容易に隠すことができ、開けると超次元的な一辺15フィート幅のスペースが現れる。閉じると非魔法的な手段では探知することはできない。船長は何もせずともスマグラーズ・ホールドの場所が分かり、自由に開閉できる。
スパイグラス・オヴ・パーセプション
Spyglass of Perception/知覚の覗き見メガネ レベル3 コモン
この手持ちの望遠鏡を通した世界は一層ハッキリとしたものだ。
その他の魔法のアイテム 680 gp
特性
君はこの道具を使用した[知覚]判定に+3のアイテム・ボーナスを得る。
スターン・ラダー
Stern Rudder/堅固な舵 Level 15 アンコモン
この舵は魔法的に君の船を強化し、戦闘においてより固い護りを授ける。
船用設備25,000 gp
特性
船はACと頑健防御値に+5のアイテム・ボーナスを得て、最大HPが50%増加する。
テレポーテーション・マスト
Teleportation Mast/瞬間移動のマスト レベル9 アンコモン
このマストには魔法のルーンが施されており、乗組員と乗客に船中の他の場所に移動させる力を持つ。
船用設備4,200 gp
汎用パワー[瞬間移動]◆無限回(標準アクション)
効果:君は自分でマストに手を触れることで、船の中で船長が立ち入り禁止にしていない場所以外に瞬間移動できる。望んだマスが他のクリーチャーによって占められている場合、君は何者も占めていない当該マスに最も近いところに現れる。(船外には出ない)
特殊:乗組員と乗客のうち、船長が指定した者だけがこのパワーを使用できる。
助っ人船員
以下に金で雇える専門の人物を挙げておく。これらのテンプレートはモルデンカイネンの魔法大百貨にあるハイアリングと同様に扱うこと。
狩人
費用:標準
狩人は銛や網を使って魚や海の生き物を捕まえる漁の達人だ。彼らはまた水棲クリーチャーのどの部分が金になるかを知っている。
特徴
ハンティング・エキスパート/狩りの達人◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[水棲]クリーチャーに関する知識判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
医者
費用:標準×2
医者は切断、骨接ぎ、傷の縫合などを行う。船医は魔法の力を持たないため、彼らは現代でも見られる器具や薬草治療などを用いる。
特徴
ヘルピング・ハンズ/助けの手◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[治療]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
クレリック
費用:標準×4
クレリックは病気を癒したりひどい傷を治療したりするために魔法を使う。他にも儀式を執行して霊的な導きを得る。誰かが死んだなら、クレリックは人生を締めくくる儀式にふさわしい埋葬を海で行い、乗組員や乗客の心を慰める。裕福で社会的地位のある者は、旅をする際は自分にクレリックを付けるよう求めるのが典型だ。
特徴
ヘルピング・ハンズ/助けの手◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[治療]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
キュレイティブ・キュア/救済の治療[治癒]
小休憩の間、クレリックは味方1人を補助できる。小休憩の間、その味方が回復力を消費するごとに追加で5点のhpを回復する。
セイクレッド・ナリッジ/聖なる知識
クレリックはレイズ・デッドの儀式を修得しており、これを執行できる。
ドルイド
費用:標準×3
荒れ狂う危険な海に立ち向かうとき、海に明るいドルイドがいれば貴重な灯となるだろう。彼らは気象予報の達人でもあり、また海のクリーチャーが船を襲ったなら、その敵意をなだめて攻撃を止めさせるための会話もできる。
特徴
ワン・ウィズ・ネイチャー/自然と共にあり ◆ オーラ5
このオーラの中にいる味方は[自然]クリーチャーに関する技能判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
プレディクト・ウェザー/気象予報
ドルイドはポーテンド・ウェザー(原始の書p159)の儀式を、構成要素を消費することなく執行できる。
メイジ
費用:標準× 3
メイジは風を司り、帆をはらませて速やかな旅をさせたり、海賊に巨大な海のクリーチャーの幻術を見せて追い払ったりする。たとえ幻術と見破られたとしても、ほとんどの海賊は相手の船にメイジがいることが分かるため、木の船を燃やされることを恐れるあまり追うのをためらう。
特徴
マスター・アルカニスト/熟達の魔術師◆オーラ5
このオーラの中にいる味方は[魔法学]判定に+2のパワー・ボーナスを得る。
標準アクション
儀式の達人/儀式の達人◆[一日毎]
効果:味方1人が次に執行する儀式で行う[魔法学]の技能判定に+5のアイテム・ボーナスを与える。
サモン・ウインズ/風よ吹け◆[一日毎]
メイジは風を起こして船の運航を手助けできる。8時間の間、船の水泳速度は2マス上昇する。
アドベンチャー・フック
いったん船を手にしたなら、PCは心躍る海の冒険を欲するだろう!以下のアドベンチャー・フックを、君のキャンペーンに導入したり、自分で考える際の手がかりにしたりするといい。
花競争:毎年、英雄たちの故郷で、その街の商家すべてが参加する船のレースが催される。船は百合島まで向かい、そこで希少な深紅色の百合を採取して持ち帰らなくてはならない。航路には危険がたくさんあり、対抗する商家が船を壊そうとしてしたり、沖に出てからも審判の目をかいくぐりつつ襲ったり襲われたりすることになる。
ありたがくない運命:とある商人が持つキャラック「貴婦人の運命」号が災難続きだ。ここ数カ月というもの、船は航路と時間を変えているにもかかわらず、毎度毎度の航海で海賊に襲われている。船の持ち主は航海の安全と厄除けのため、冒険者を雇う。実は乗組員の一人が海賊の一味だ。魔法の発信機を使い、船の居場所と積み荷がどの時点で最も高くなるか漏らしていた。海賊は襲撃して荷を奪い、次の港で内通者を使って盗品をさばくつもりだ。
海中探検:歴史書によると、海深くに華々しい繁栄を誇ったシー・エルフの都市があるそうだが、その場所を探検したことのある者は久しくいなかった。学者はその都市がどうなったのかに興味を持つ一方、商人はシー・エルフと交易協定を結ぼう、もし住民がいないのなら略奪してしまおうと考えている。
幽霊船:幽霊船がリヴンスカル島近辺に出没している。船の客が戦争勃発直前の国の間でつかわされた特使の一団であったことが分かり、物語は動き出す。彼らを殺したのは誰か?そして動機は?戦争が始まることで得をする黒幕が浮かび上がる。
静まらざる乙女:裕福な貴族が、長女の結婚の引き出物に船を一艘発注した。「優しき乙女」号は手彫りの手すりと息をのむほど美しい船首像で飾られた、とても手の込んだ優雅な船だ。しかし、ほどなく船は悲しみの叫びに憑りつかれ、未完成の船にひどい波が打ち寄せるようになる。水夫たちはこの船が呪われていると信じ込み、出航を拒否しだす。婚礼の日はわずか数日後に迫り、新婚旅行で新郎新婦を乗せる準備をしなければならない。実のところ、船首像は魔法で捕らわれたハマドライアドで、ひどい波は姉妹を助けようとするシー・ニンフによるものだ。船の建設を監督するウィザードは、ハマドライアドを船に縛り付けていることを知られたくないため、何かにつけて冒険者たちに横槍を入れる。
夜の島:千年に一度、神秘の島が現れるという言い伝えがある。月のない夜に姿を見せ、一昼夜留まり、そこから音もなく海に沈むそうだ。島にはどのようなお宝や神秘が隠されているのだろうか?島はどこから来るのか、そしてなぜそんなに稀にしか現れないのか?
もう歌えない:諸島の者たちが言う「歌石」が静まり返った。その子守唄はバードの語り草で、石は船乗りだけでなく、それを知る者みなにとっての標のようなものだったのだ。通りかかった船から、今や静まり返った島の周りで、バラバラにされたシー・ニンフの身体が浮いているのを見たという報告がある。
短剣岬の裂け目:船がいくつも短剣岬の近くで消息を絶っている。商人や港の政治的指導者は、事実上絶たれてしまった貿易路に頭を悩ませている。巨大な竜巻が短剣岬に現れ、その中心は元素混沌に向けて口を開けている。悪辣なイフリートが商船を元素混沌に引き込むために渦を使い、積荷は取引に、乗員は奴隷に売り飛ばすことでけしからん儲けをあげている!
王達の船:二つの争う国の王が休戦に同意し、何か月もの交渉の後、不道徳な側近たちの耳と目の届かない中立地帯で会うことにした。両者は冒険者の船に乗り、公海で会談の場を設ける。サファグンの男爵が両方の王国に宣戦布告し攻撃をかけたそのとき、冒険者たちのなすべきことはサファグンを退けること、そして二人の王に共通の敵がいることを分からせることになる。
海を舞台にした冒険向けの儀式
以下に海を舞台にした冒険向けの儀式を挙げる。ウォーター・ブリージング(レベル8)、ウォーターズ・ギフト(レベル10)、ウォーターボーン(レベル14)はみな水中で呼吸できる能力がつくが、レベルが高いものほどおまけも大きい。ウォーター・ウォークで水上歩行ができるようになり、ローワー・ウォーターによって水を浅くできる。コントロール・ウェザーは恐ろしい嵐を収めたり、無風状態に風を吹かせたりするのに使う。ピュアリファイ・ウォーター(レベル1)によって海水が飲めるようになる。
著者について
ローリー・アンダーソンはRPGAやニュー・イングランド・ゲーミング・コミュニティで活躍中だ。彼女はリビング・フォーゴトン・レルムズ(LFR)・アドベンチャーに寄稿しており、The Agony of Almraiven、Containing Shadow、Plain of Stone Spiders(すべて未訳)が挙げられる。
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